大手SIerでSEとして6年ほど、その後PMとして3年ほど、業務システムの開発・運用プロジェクトに携わったのち、ITコンサルタントへ転職しました。この記事では、その選考過程で実際に聞かれた質問と、その場で自分がどう答えた(あるいは答えに詰まった)かを、できるだけ具体的に振り返ってみます。
転職サイトやエージェント系のメディアを見ると、「ITコンサル面接でよく聞かれる質問30選」といった網羅的な質問集や模範解答がたくさん公開されています。もちろんそれらは選考対策として役立つのですが、実際にその質問を投げかけられた瞬間にどんな空気だったか、自分がどこで言葉に詰まり、どう立て直したかという生々しい手触りまでは書かれていません。この記事では、質問そのものの網羅性よりも、「選考の場で実際に何が起きたか」を中心に書いていきます。
「なぜコンサルなのか」を、想像より何段階も深く掘られた
志望動機を聞かれること自体は当然予想していました。ただ一次面接で「なぜIT業界の中でもコンサルなのか」と聞かれた後、「それはSIerに残っていてもできるのではないですか」「今の会社の枠組みの中で実現しようとは思わなかったのですか」と、一問一答では終わらず三段階ほど畳みかけるように深掘りされたのは正直想定外でした。最初に用意していた「顧客に本当に寄り添った提案がしたい」という一言では、二段目の質問であっさり切り返されてしまいました。用意していた一言二言の志望動機では通用せず、何度も深掘りされて初めて本音の部分が引き出されるのだと、その場で痛感しました。結果的には、SIer時代に感じていた「自社の利益を優先せざるを得ない構造への葛藤」を正直に語ったところ、そこから面接官との対話がようやく噛み合い始めた感覚がありました。
SIer時代の失敗を、状況ではなく自分の意思決定として問われた
「これまでで一番苦戦したプロジェクトは何ですか」という質問に対し、最初は「納期がかなり厳しい案件でした」という、状況説明にとどまる回答をしてしまいました。すると面接官から「その時、あなた自身は何を考え、具体的に何をしたのですか」と重ねて聞かれ、単なる苦労話ではなく、自分の判断や葛藤そのものを語る必要があるのだと気づかされました。「大変だった話」ではなく「その状況で自分がどう考え、どう動いたか」を一貫して求められていると理解できたのは、正直その質問を二度、三度と形を変えて受けてからでした。準備していたエピソードの「結果」の部分ばかり話してしまい、「プロセスの中の自分」を語れていなかったことに、面接の途中で自分で気づかされる場面もありました。
その場で出されたケース問題に、最初の数十秒固まった
事前にある程度フレームワーク的な準備はしていたつもりでしたが、実際にその場で出された即興のビジネス課題に対しては、最初の数十秒、何から話し始めればいいのか分からず沈黙してしまいました。面接官が見ているのは「正解」ではなく思考のプロセスだと頭では理解していたはずなのに、いざその場に立つと、まず何を仮置きして話し始めるべきかを口に出すこと自体に苦戦したのです。結果的には、分かっている前提条件をひとつずつ声に出しながら整理するところから始めることで、少しずつ言葉が出てくるようになりました。「正解を探す」姿勢から「今分かっていることを口に出しながら考えを進める」姿勢への切り替えが、その後の選考でも繰り返し試された部分だったと思います。
「実現したい未来」を聞かれて、言葉に詰まった
「あなたが将来的に実現したいことは何ですか」という質問に対しては、正直に言うと、それまで「コンサルタントに転職すること」自体がある種のゴールのようになってしまっていて、その先の像をうまく言語化できていませんでした。とっさに一般論めいた回答をしてしまい、面接官の反応が明らかに薄かったことを今でもよく覚えています。転職という手段そのものが目的化してしまい、その先に何を実現したいのかを語れなかったことは、あの選考での一番の反省点でした。この質問だけは、後日振り返ってあらためて自分の言葉で言語化し直す時間を取ったのを覚えています。
逆質問の時間が、実はギャップを埋めるヒントをもらえる場だった
一方で、逆質問の時間に思い切って「SIerからコンサルに移った方が最初に苦労した点は何ですか」「その視座の違いをどう埋めていったのですか」と率直に聞いてみたところ、面接官自身の実体験に基づいた具体的なアドバイスを返してもらえたことがありました。多くの選考対策記事は「逆質問でどう好印象を残すか」というテクニック論で終わっていますが、実際にはそれだけではなく、自分がこれから埋めるべきギャップを教えてもらえる相互理解の時間でもありました。逆質問は評価を良くするための演出の場ではなく、自分が本当に知りたいことを率直に聞いていい場だったのだと、後から振り返って思います。
選考は「評価される場」であると同時に「知る場」でもあった
こうして振り返ってみると、選考で聞かれた質問の多くは、一問一答で完結するものではなく、こちらの回答に対してさらに一段深く掘り下げてくる形式がほとんどでした。表面的に整えた模範解答ではなく、自分の言葉で、その場で考えながら答える力そのものを見られていたのだと思います。うまく答えられなかった質問ももちろんありましたが、それも含めて選考という時間全体が、自分自身の考えを整理し直すきっかけになったと感じています。
今振り返って一番役に立ったと思うのは、想定問答を丸暗記することではなく、「なぜそう思うのか」を自分自身に何度も問い直しておく準備でした。深掘りされることを前提に、ひとつの質問に対して二段階、三段階先まで理由を掘っておくと、本番で急に切り返されても慌てずに済みます。逆に言えば、そこまで準備しておかないと、面接官の一段目の深掘りだけで言葉に詰まってしまう、というのが実際に経験した肌感覚です。
面接そのもので実際にどこでつまずいたかについては、以前の記事ITコンサル転職の面接・ケース面接、実際どこで失敗したかでも詳しく書いています。あわせて、選考を通じて感じたエージェントごとの対応の差については転職エージェントの当たり外れ|良いエージェントの見極め方もあわせて参考にしてみてください。
もし今まさに選考を控えていて、想定質問への準備だけでなく、こうした深掘りにどう向き合うか相談できる相手が欲しいと感じているなら、選考対策に強いコンサル特化型の転職エージェントを頼ってみるのも一つの手だと思います。

