「数字(KPI)で詰められる」コンサルの評価に、SIer時代との違いを痛感した話

数字のグラフを前に評価について考えるビジネスパーソン 入社後ギャップ

「頑張っていれば、いつか誰かが見てくれている」——SIer(システムエンジニア)時代、評価というものをどこかそんな感覚で捉えていませんでしたか。私自身、SIerでSEからPMまで経験してきた中で、日々の工数管理や案件対応をきちんとこなしてさえいれば、評価はある程度後からついてくるものだと思っていました。ところがコンサルに転職してみると、その前提が根本から崩れる場面に何度も出くわしました。

「コンサル 評価 数字 詰められる KPI」で検索すると、ファーム間の評価制度を比較する記事や、コンサル業界のKPI用語を解説する記事が多く見つかります。中には転職時に確認すべき指標として、案件獲得への貢献度を示す数字(いわゆるセリングKPI的な概念)を紹介しているエージェント記事もありました。ただ、そうした記事はあくまで「制度としてこういう指標がある」という説明にとどまっていて、実際にその数字を背負いながら働く側が、SIer時代の評価との落差にどう戸惑い、どう向き合ったかまでは書かれていませんでした。今回はその中身を書いてみます。

この記事でわかることは、次の3点です。

  • SIer時代の評価とコンサルの評価で、何が根本的に違うのか
  • 具体的にどんな「数字」で詰められる場面があったか
  • 数字で詰められる評価に、実際にどう向き合ったか

SIer時代は「工数をこなす」評価、コンサルは「数字で語れる貢献」の評価だった

SIer時代の評価は、プロジェクトの工程をきちんと回せているか、担当タスクを期日通りにこなせているかという、比較的定性的な物差しが中心でした。もちろん数字(工数やスケジュール遵守率など)は使われていましたが、それはあくまで管理のための数字で、個人の評価に直接重くのしかかる感覚はあまりありませんでした。

コンサルに転職して衝撃だったのは、自分がどれだけ会社の収益・案件獲得に貢献しているかを示す数字が、評価の中心に据えられていたことでした。担当案件の稼働率だけでなく、次の案件につながる提案の採用実績や、クライアントからの追加依頼(エンゲージメントの延伸)といった、営業的な色合いの強い数字まで、評価の対象として意識させられる場面が何度もありました。

具体的にどんな数字で「詰められた」のか

一番戸惑ったのは、上司との定例の1on1で、感覚的な手応えを話しているつもりが、いつの間にか具体的な数字の資料を突きつけられて振り返りをする形式に切り替わっていたことです。「今期はここまで積み上げられたが、目標に対してはこの水準」という形で、自分の貢献が数値化された状態で提示されるのは、SIer時代にはほとんど経験がありませんでした。

特に苦しかったのは、案件の谷間(アサインが薄い期間)が続いたときです。SIer時代であれば、社内の別案件の手伝いや研修に時間を充てても、それほど強く問われることはありませんでした。ところがコンサルでは、その期間の数字も含めて評価の対象になるため、「今何をしているか」を数字で説明できないと、単なる停滞と受け取られかねない緊張感がありました。

SIer時代の年功序列的な評価に慣れていた身としては、成果を出しているつもりでも、それを裏づける数字が伴わないと評価されにくいという構造そのものに、最初は強い抵抗感を覚えました。

数字で詰められる評価に、実際にやった向き合い方

戸惑いながらも、いくつかの工夫を重ねることで、数字と向き合う負荷は少しずつ下がっていきました。特に効果があったと感じているのは次の4つです。

  1. 期の頭に、自分が追う数字の目標水準を上司とすり合わせておき、期末になって初めて認識のズレに気づく事態を避けた
  2. 案件の合間の期間も、社内提案の準備や勉強会での貢献など、定性的な動きを可能な限り定量化(件数・時間など)して記録しておいた
  3. 単月・単四半期の数字の上下に一喜一憂せず、半期単位でならして振り返る習慣をつけた
  4. 数字そのものだけでなく、その数字を追いかける理由・ロジックを自分の言葉で説明できるように準備した

特に1つ目のすり合わせは効果が大きく、期末に慌てて数字の辻褄合わせをするのではなく、日々の動き方そのものを目標に沿って調整できるようになりました。

根っこにあるのは「自社に寄せた評価」から「フラットな数字」への転換

振り返ってみると、この数字への戸惑いは、単なる評価制度の違いというより、もっと本質的な視座の転換の一部だったと感じています。SIer時代は、自社の立場・利害に寄った物差しの中で評価が決まりがちでしたが、コンサルでは利害を排してフラットに、しかも数字という誰の目にも同じに見える形で貢献を示すことが求められます。

「頑張っていれば見てもらえる」という感覚のまま数字の世界に飛び込むと、自分では十分にやっているつもりでも評価が伴わず、苦しくなりやすいのだと思います。この視座の転換については、「詳細を詰める仕事」から「方向性を決める仕事」へ|SIerとコンサルの本質的な視座の違いでより詳しく書いていますので、あわせて読んでいただくと立体的に伝わるかと思います。

また、「答えのない論点を自分で仮説を立てて進める」ことや「受け身では評価されない文化」への戸惑いは、ITコンサルに転職して「思っていたのと違った」と感じたことでも触れていますので、こちらもご参照ください。

これからコンサルを目指す方へ

もし今SIer(システムエンジニア)としてコンサル転職を検討している段階なら、いきなり数字への感度を高める必要はありません。ただ、面接や職務経歴書の準備の中で、自分の実績を「頑張った」ではなく「どのくらいの規模・件数・期間で、何を成し遂げたか」という数字を交えた言葉に変換する練習をしておくと、入社後のこの落差を和らげる助けになります。

転職前の今のうちから、自分の仕事を定量的に語る癖をつけておくことは、選考のアピールにも、入社後の評価対応にも、両方に効いてくる準備だと感じています。

あわせて読みたい

入社後ギャップ全般についてはSIerからITコンサルへ転職して味わった入社後ギャップ、感じたことを全部書くにまとめていますので、こちらもあわせてご覧ください。

終わりに

数字で詰められる評価は、慣れるまでは正直きついものだと思います。それでも、数字は敵ではなく、自分の貢献を誰にでも伝わる形に翻訳するための道具だと捉え直せると、向き合い方は変わってきます。

まだ転職を決めていない段階でも、こうした評価の物差しの違いを知っておくだけで、入社後の受け止め方はずいぶん変わるはずです。体系的に学び直したい場合は、無理のない範囲でオンライン講座を試してみるのも一つの手だと思います。

タクマ

SIer(システムインテグレーター)でSE・プロジェクトマネージャーを経験したのち、IT/業務系コンサルティングファームへ転職。業界横断のプロジェクトに携わりながら、転職の実体験や入社後のギャップを発信しています。プライバシー保護のため、所属企業名・案件名など特定につながる情報は伏せています。

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