周囲から見て、成果も評価も悪くなかったはずの同僚が、ある日突然「休職します」と口にする。コンサル業界にいると、そうした場面に一度は遭遇することがあります。今回は、その同僚を近くで見ていて感じたことを、これからコンサルへの転職を考えている方に向けて書きます。
「コンサル 適応障害 休職」と検索すると、実際に休職を経験した本人が、症状の始まりから診断・会社への報告までの経緯を綴ったnote記事が数多く見つかります。一方で転職エージェント系のメディアの多くは、激務・ストレスへの一般的な対処法の紹介にとどまっていました。どちらにも共通して薄いと感じたのが、本人ではなく周囲(同僚・上司)の側から見て、休職に至るまでにどんな変化が見えていたのかという視点です。この記事では、その「傍から見えた変化」に絞って書きます。
私自身はSIer(システムエンジニア)としてSE〜PMの実務を数年経験したのち、ITコンサルタントへ転職しました。転職後は採用面接や後輩育成にも携わる機会があり、その中で、同じチームにいた同僚が休職に至った場面を近くで見てきました。特定の個人が分かる形にならないよう、複数のケースを組み合わせて一般化した内容として書いています。
この記事でわかること
- コンサルの「きつさ」を精神論だけで説明してはいけない理由
- 休職に至るまでに、周囲から見えていた具体的な変化のサイン
- これから転職を考える人が、今のうちからできる備え
評価は悪くなかったはずなのに、休職に至った同僚
その同僚は、クライアントからの評価も、社内での評価も決して低くありませんでした。むしろ「期待値の高い若手」として見られていたタイプで、傍目には順調に見えていたことが、後から振り返ると一番の落とし穴だったように思います。
SIer時代の評価は、良くも悪くも年功序列的で、決められたことを積み上げていけば、時間はかかっても評価はついてきました。コンサルでは評価の軸そのものが変わり、「方向性を自分で決める」「成果を自分から可視化する」ことが常に求められます。真面目で責任感の強い人ほど、弱音を挟む余地なく走り続けてしまう構造があるのだと感じています。
傍目に気づけた変化のサイン
休職に至るまでの数ヶ月を振り返ると、当時は「繁忙期だから」「案件の山場だから」と流していたものの、後から思えば明らかにいつもと違うサインがいくつもありました。
傍目に気づけた3つの変化
- 雑談やちょっとした相談への反応が目に見えて薄くなり、必要な業務連絡以外のやり取りが減っていった
- 会議後のラップアップやメッセージの返信時間が、以前より明らかに遅い時間帯にずれ込むようになった
- 有給や振替休日をほとんど取らなくなり、体調不良で休むことすら「迷惑をかける」と避けるようになった
いずれも一つひとつは小さな変化で、繁忙期であれば誰にでも起こりうることです。だからこそ見過ごされやすく、複数のサインが重なって初めて「おかしい」と気づいた頃には、すでに本人はかなり消耗していることが多いと感じています。
精神論で片付けてはいけない理由
「気合が足りない」「向いていないのでは」という受け止め方は、少なくとも私が見てきたケースでは的外れでした。むしろ責任感が強く、自分で仮説を立てて動くことに真面目に取り組んでいた人ほど、立ち止まる判断が遅れる傾向があったように思います。
SIer時代は、指示を待って積み上げる仕事の進め方が中心でした。コンサルでは、答えのない論点に自分から仮説を立てて向き合う場面が続きます。この働き方の転換そのものが、想像以上に負荷の高いものだという前提を、精神論の一言で片付けてしまわないことが大切だと感じています。
加えて、コンサルの現場には「定時後でも周囲が相談に乗ってくれる」助け合いの文化がある一方で、区切りが曖昧になりやすいという裏返しの側面もあります。相談しやすい環境があるからこそ、逆に「相談しない自分」の方が問題として見過ごされやすくなる、という構造も見過ごせないと感じています。
気づいたときにできること
体調や様子の変化が続く場合、チーム内だけで抱え込まず、早めに産業医やEAP(従業員支援プログラム)、専門の医療機関に相談することが大切です。会社によって制度の充実度に差はありますが、多くのコンサルティングファームには相談窓口が用意されています。
この記事は医療的な診断や助言を目的としたものではありません。あくまで、周囲から見えていた一般的な傾向を共有するものです。少しでも気になるサインがあれば、自己判断で我慢を続けず、専門機関に相談することを優先してください。
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入社直後の消耗のタイミングについては「もう無理かもしれない」コンサル入社3ヶ月で心が折れかけた話でも書いています。休職に至るケースは、こうした消耗が積み重なった先にあることが多いと感じています。
入社後ギャップの全体像はSIerからITコンサルへ転職して味わった入社後ギャップ、感じたことを全部書くにまとめていますので、あわせてご覧ください。
これからコンサルを目指す方へ
今まさに近くで悩んでいる同僚がいる方に向けた話ではなく、これからコンサルへの転職を考えている方に知っておいてほしいのは、「頑張り続けられること」自体が評価される環境ではないという点です。むしろ、しんどさを早めに言語化して周囲に伝えられるかどうかが、長く働き続けるための力になります。
転職を焦って決める必要はありません。今のうちに、体系的に学び直したい分野があれば、無理のない範囲でオンライン講座を試してみるのも一つの準備だと思います。
終わりに
「きつい」「向いていない」という言葉だけで片付けてしまうと、本当に見なければいけない構造的な負荷が見えなくなります。コンサルの働き方は、SIer時代とは評価の軸そのものが違うという前提を、転職前の今のうちに知っておくだけでも、入社後の受け止め方はかなり変わるはずです。
この記事で挙げた変化のサインは、誰にでも起こりうるものです。もし転職後に自分自身や周囲にこうした兆しが見えたら、精神論で片付けず、早めに周囲や専門機関に相談することを選んでください。


