SIerからITコンサルへの転職を考え始めた頃、正直「コンサルは個人技の世界で、殺伐とした雰囲気なのではないか」というイメージを持っていました。成果主義で数字にシビアだからこそ、周囲に頼りづらい環境なのだろうと勝手に想像していたのです。
実際に転職してみると、このイメージは良い意味で裏切られました。むしろ、SIer時代よりも人に頼りやすい環境だったというのが率直な感想です。今回は、SIer(システムエンジニア)からITコンサルへ転職した一人称の実体験として、「助け合いの文化」と「上司との距離感」という、SIer時代とは大きく異なっていた組織文化のギャップについて書いてみます。
この記事でわかること
- SIer時代と、コンサルの「助け合い」「上司との距離感」の違い
- なぜコンサルでは距離が近くなるのか、自分なりの理由
- メンター制度・休みの調整のしやすさ
SIer時代、「困った時に頼る」こと自体がハードルだった
SIer時代を振り返ると、上司や先輩に相談すること自体に、今思えば必要以上の遠慮があったように思います。年功序列的な組織構造の中で、役職・年次の差がそのまま「話しかけやすさ」の差にもつながっていた感覚が、今振り返るとありました。
タスクが立て込んでいても、まずは自分一人でなんとか片づけようとするのが当たり前で、他のメンバーに助けを求めるという発想自体があまりありませんでした。困っていることを表に出すのが、どこか「力不足を認める」ことのように感じられていたのかもしれません。
コンサルに来て驚いた、「お互いカバーし合う」文化
コンサルに転職して早い段階で驚いたのは、タスクが多くて間に合わなさそうな時、周囲が自然に手を差し伸べてくれる文化があったことです。「今ちょっと余裕があるので巻き取りますよ」という声かけが、特別なことではなく日常的に飛び交っていました。
実際、複数の案件を同時に抱えてタスクが積み上がっていた時期、隣の席のメンバーが「今週は少し余裕があるので、その資料の下書きだけでも巻き取りますよ」と自分から声をかけてくれたことがあります。SIer時代であれば、まず自分でどうにかしようと抱え込んでいた場面だと思います。
良くも悪くも、定時後であっても相談に乗ってくれる人がいる文化があり、本当に困った時は遅い時間帯でも相談してしまうことがあります。これは助け合いの文化と表裏一体で、仕事とプライベートの区切りが曖昧になりやすい側面でもあり、手放しに良いことばかりとは言い切れないというのが正直なところです。
上司との距離感の近さにも戸惑った
もうひとつ意外だったのが、上司との距離感の近さです。SIer時代は、上司は「指示を出す人」「評価をする人」という立場の違いを強く意識する対象でした。ところがコンサルでは、上長との距離が近く、日常的に相談しやすい関係性を感じる場面が多くありました。
定期的な1on1面談で、目標に対する進捗や、上長が自分に何を期待しているかをすり合わせる機会が設けられていたことも大きかったです。評価のタイミングになって初めて「実は期待とズレていた」と気づくような事態を避けやすくなり、日々の頑張りをきちんと認識してもらえている安心感にもつながりました。
なぜこの距離感が生まれるのか、自分なりに考えた理由
この距離感の近さの理由を自分なりに考えてみると、評価の軸が年功序列ではなく成果・実力に基づいている組織であることが大きいのではないかと思っています。年次や年齢に関わらず、上司が自分より若いというケースも珍しくない環境だからこそ、「立場の上下」よりも「頼れるかどうか」で人間関係が築かれやすいのかもしれません。
肩書きや年次で遠慮し合う関係よりも、率直に意見をぶつけ合える関係の方が、成果を出す上で合理的だという考え方が組織全体に浸透しているように感じます。SIer時代のような、年次がそのまま発言力に直結する構造とは、根本的な前提が違うのだと思います。
SIer時代からの3つの違い
- 助け合い: 「困った時に頼る」こと自体がハードルだった環境から、お互いカバーし合う文化へ
- 上司との距離: 「指示を出す人・評価する人」という意識から、距離の近い相談相手へ
- 休みの調整のしやすさも、この距離感の延長にあった
メンター制度と、制度だけに頼らない支え合い
転職直後の不安が大きかった時期、メンター制度に助けられた場面も少なくありませんでした。業務の進め方だけでなく、社内の人間関係やちょっとした相談ごとまで気軽に聞ける相手がいることは、想像していた以上に心強いものでした。
ただ、定着を左右していたのは制度そのものよりも、メンターかどうかに関わらず周囲が自然にサポートしてくれる組織文化の方だったように思います。制度は入口に過ぎず、その先の日常的な支え合いがあって初めて、安心して仕事を任せられる関係になっていったという実感があります。
休みの調整のしやすさも、この距離感の延長にあった
助け合いの文化と上司との距離感の近さは、休みの取りやすさにもつながっていると感じています。SIer時代は、周囲のスケジュールを気にしすぎて、有休の相談を切り出すこと自体に気を遣っていた記憶があります。
コンサルでは、事前に一言伝えておけば、タスクの割り振りを周囲が柔軟に調整してくれる場面が多く、想像していたよりも休みの相談がしやすいと感じました。普段から「困った時はお互い様」という前提が共有されているからこそ、休む側も気兼ねなく申し出やすいのだと思います。
コンサル入社後に感じたギャップの中でも、資料作成や議論のスピード感についていけなかった経験についてはコンサル転職後、資料作成・議論についていけなかった私が克服のためにやったこと5つで詳しく書いています。また、「向いている人・向いていない人」という視点からギャップを整理した「仕事が合わなかった」と辞めた同僚の本当の理由|ITコンサルに向いている人・向いていない人の見分け方もあわせて読んでいただくと、組織文化とスキル面の両方からギャップを立体的に捉えられるかと思います。
助け合いの文化に頼れる環境があるからこそ、自分自身の思考の型も体系立てて磨いておきたいという方には、オンライン講座でロジカルシンキングや構造化のスキルを学んでみるのもひとつの選択肢だと思います。引き出しを増やしておくことが、結果的に周囲から頼られる側にも回れる近道になる気がしています。助けてもらう側で終わらず、いずれ助ける側にも回れるような準備を、日頃から少しずつ進めておきたいと考えています。


