「仕事が合わなかった」と辞めた同僚の本当の理由|ITコンサルに向いている人・向いていない人の見分け方

ITコンサルに向いている人・向いていない人について考えるビジネスパーソン 入社後ギャップ

SIer(システムエンジニア)からITコンサルへ転職して数年が経つ間に、同じように転職してきた同僚が「やっぱり自分には合わなかった」と言って辞めていく場面を何度か見てきました。興味深いのは、本人が語る「辞める理由」と、周囲が見ていた「本当につまずいていた点」が、必ずしも一致しないことです。

この記事では、そのズレを手がかりに、ITコンサルに向いている人・向いていない人の見分け方を、一般論ではなく実際に見聞きした具体例から考えてみます。

この記事でわかること

  • 辞めていく人の「本人の説明」と「周囲の見立て」のズレ
  • ITコンサルで向き不向きが分かれるポイント
  • 向き不向きは才能ではなく姿勢の問題で、変えられること

本人が語っていた「辞める理由」

辞めていった同僚たちが口にする理由は、だいたい似通っていました。「思っていた仕事内容と違った」「仕事の進め方・カルチャーについていけなかった」、そして「技術志向が強すぎて、方向性を考える仕事より、実際に手を動かして作る仕事の方が好きだと気づいた」というものです。

どれも嘘ではないと思いますし、実際にコンサルという仕事が本人の志向と根本的にズレていたケースもあったはずです。ただ、本人の自己申告だけを聞いていると、「たまたま仕事内容が合わなかった」という運の悪さの話に聞こえてしまうところに、少し引っかかりを感じていました。

周囲から見えていた「本当につまずいていたポイント」

同じチームで働いていた立場から見ると、辞めていった同僚たちには、仕事内容うんぬん以前に、いくつか共通する姿勢の問題があったように感じます。指示を待つ受け身の姿勢が最後まで抜けなかったこと。

完璧に仕上げてから出そうとするあまりアウトプットが遅く、スピード感についていけなかったこと。同じ指摘を繰り返し受けても、自分なりの意見や仮説を提示できないままだったこと。

そしてチームで動くより、一人で黙々と作業する方を好むタイプだったこと。これらは本人が語る「仕事内容が合わなかった」という説明とは、少しレイヤーの違う話です。

本人の自己申告と、周囲の見立ての間にこうしたズレがあること自体が、ITコンサルという仕事の適性を考えるうえで重要なヒントだと思っています。「仕事内容」という表層的な合う・合わないの前に、そもそもの仕事への向き合い方が問われている、というのが実感です。

この手のズレは、本人が悪気を持って事実を歪めているわけではないと思います。むしろ本人にとっては「仕事内容が合わなかった」という説明の方が、姿勢や進め方の問題を認めるよりも受け入れやすいのだろうと想像しています。

ただ、次に同じような転職を考える誰かにとっては、こうした周囲からの見立てのほうが、はるかに実用的な判断材料になるはずです。

周囲から見えていた、つまずきやすい人の共通点

  • 指示を待つ受け身の姿勢が抜けない
  • 完璧に仕上げてから出そうとし、スピード感についていけない
  • 同じ指摘を受けても、自分なりの意見や仮説を出せない
  • チームで動くより、一人で黙々と作業することを好む

なぜ技術志向が強い人ほどミスマッチが起きやすいのか

辞めていった同僚に共通していたもう一つの傾向が、技術志向の強さでした。アプリの実装やシステムの設計など、「作ること」自体に強い興味を持っている人にとって、ITコンサルの仕事は肌に合わないことが多いように見えます。

コンサルの仕事の中心は、システムをどう作るかではなく、そもそもどの方向に進むべきかという、一段上位のレイヤーの検討です。SIer時代は「方向性はある程度決まっている前提で、詳細をどう詰めるか」を考える仕事が中心でしたが、コンサルでは「方向性そのものを決める」議論に関わることになります。

ここで求められる思考のモードが根本的に違うため、技術そのものへの興味が強い人ほど、物足りなさや違和感を覚えやすいのだと思います。

逆に「向いている」と感じた人の共通点

一方で、同じようにSIerからコンサルへ転職してきた同僚の中には、驚くほどスムーズに馴染んでいった人もいます。共通していたのは、特定の製品や技術に縛られず顧客本位で提案できる自由度を、不安ではなく魅力として受け止められていたことです。

またタスクが積み上がって間に合わなくなりそうなとき、周囲と自然に助け合える文化を居心地よく感じられるタイプであることも、定着している人に多く見られる特徴でした。指示を待つのではなく、分からないなりに自分の仮説を持って動こうとする姿勢があるかどうかも、大きな分かれ目だったように思います。

もう一つ気づいたのは、定着している同僚ほど、チームで仕事をすることそのものを楽しめている点です。コンサルというと一人で高い専門性を発揮する個人技のイメージを持たれがちですが、実際の現場は複数人でチームを組んで動く場面がほとんどです。

面接の段階でも、論理的思考力そのものだけでなく、雑談的な時間を通じて人間性やチームで仕事ができるキャラクターかどうかが見られている、と感じたことがありました。技術的な適性以上に、こうした「人との関わり方の相性」が、入社後の定着を左右している部分は小さくないと思います。

定着している人に見られた共通点

  • 特定の製品・技術に縛られず、顧客本位で提案することに違和感がない
  • 困ったときに周囲と自然に助け合える文化を居心地よく感じる
  • チームで仕事をすること自体を楽しめている
  • 「詳細を詰める仕事」から「方向性を決める仕事」への転換を面白がれる

向き不向きは固定ではなく、姿勢は変えられる

ここまで「向いている・向いていない」という切り口で書いてきましたが、これは生まれ持った才能の話ではなく、多くの部分が姿勢や進め方の問題だと考えています。実際、私自身も転職直後は資料作成や議論のスピード感についていけず苦戦した時期がありましたが、先輩の型を観察して真似る、ドラフト段階で早めに周囲へ相談するといった地道な工夫を重ねることで、少しずつ克服できました。

この点は、コンサル転職後、資料作成・議論についていけなかった私が克服のためにやったこと5つで具体的に書いていますので、入社後に同じ壁にぶつかったときの備えとして、参考にしてみてください。つまり、今の時点で「受け身の姿勢が抜けない」と感じていても、それだけで向いていないと決めつける必要はないということです。

本質は「詳細を詰める仕事」から「方向性を決める仕事」への転換

向き不向きを分けている一番の本質は、SIer時代の「詳細を詰める仕事」から、コンサルの「方向性そのものを決める仕事」への転換に、どれだけ前向きに向き合えるかだと感じています。この視座の転換の具体的な中身については、「詳細を詰める仕事」から「方向性を決める仕事」へ|SIerとコンサルの本質的な視座の違いで詳しく書いています。

技術志向の強さそのものは悪いことではありませんが、この視座の転換を面白がれるかどうかが、辞めていった同僚たちと定着していった同僚たちを分けていた一番大きな違いだったと今振り返って思います。

もし今、自分がITコンサルに向いているのか自信が持てず迷っているなら、独学でロジカルシンキングや課題解決の考え方を体系的に学んでみるのも一つの手だと思います。オンライン講座で学んでみることで、方向性を決める仕事の面白さが自分に合いそうかどうか、転職活動を本格化させる前に感覚をつかめるはずです。

タクマ

SIer(システムインテグレーター)でSE・プロジェクトマネージャーを経験したのち、IT/業務系コンサルティングファームへ転職。業界横断のプロジェクトに携わりながら、転職の実体験や入社後のギャップを発信しています。プライバシー保護のため、所属企業名・案件名など特定につながる情報は伏せています。

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