「黙っていても見てもらえる」は通用しなかった|コンサルで評価が伸び悩んだ理由

コンサルの評価について静かに考え込むビジネスパーソン 入社後ギャップ

「コンサル 評価 通用しない」と検索すると、自己アピールの重要性を説く記事や、フィードバックを素直に受け止めるべきだという記事、あるいは入社前に評価制度そのものを見極めておくべきだという記事が多く見つかります。どれも的外れではありませんが、実際に評価が伸び悩んだ経験がある身としては、もう一段掘り下げた「なぜ自己アピールがそこまで効くのか」という構造の部分が語られていないように感じました。

私はSIer(システムエンジニア)としてSE〜PMの実務を数年間経験したのち、ITコンサルタントへ転職しました。転職前は「目の前の仕事を積み重ねていれば、いずれ評価はついてくる」と漠然と思っていましたが、コンサルに移ってからしばらくの間、その感覚のままでは評価が思うように伸びない時期がありました。

この記事でわかること

  • 「黙っていても見てもらえる」がコンサルで通用しない理由
  • 評価基準自体は明確なのに、評価が伸び悩んでしまった本当の理由
  • 実際に意識・行動を変えるためにやったこと

「黙っていても見てもらえる」という感覚は、SIer時代の年功序列が土台だった

SIer時代、評価は年次や在籍年数に比例して緩やかに上がっていく実感がありました。目立って自己主張をしなくても、真面目に積み上げていれば、いずれ周囲が見てくれるという安心感があったのが正直なところです。

この感覚は決して怠慢だったわけではなく、SIerという組織の評価の仕組みそのものが、年次・積み上げをベースにしていたからだと今は思います。だからこそ、コンサルに転職した当初も、同じスタンスのままで働いていました。

評価基準は明確なのに、なぜ評価が伸び悩んだのか

コンサルに転職して驚いたのは、評価制度自体が曖昧だったわけではなかったことです。むしろ、どのスキルが不十分か、何を伸ばせば評価が上がるかは、上司との会話の中でかなり明確に示されました。改善のための機会も、周囲が協力してくれる体制もありました。

それでも評価が伸び悩んだのは、案件やエンゲージメントを自分からリードしていく姿勢を、こちらから発信できていなかったからです。成果を出していても、それを自分から周囲に伝えなければ、評価する側には「なんとなく頑張っている人」としてしか映りません。

SIer時代は、良くも悪くも成果物や工数の記録が可視化されやすく、黙っていてもある程度は伝わる仕組みがありました。コンサルではその前提がなく、自分から発信しない限り、評価する側には何も届かないという構造の違いに、しばらく気づけませんでした。

実際に意識を変えるためにやった3つのこと

  1. 案件が始まる段階で、自分がどの部分をリードしたいかを、あらかじめ上司に言葉にして伝えるようにしました。
  2. 定期的な1on1の場で、成果だけでなく「なぜその進め方を選んだか」まで含めて自分の言葉で説明する時間を作りました。
  3. 成果が出たタイミングで、次のタスクへすぐ移らず、関わった経緯や工夫した点を一言添えて周囲に共有するようにしました。

これらは特別なテクニックではありませんが、「成果を出す」ことと「成果を認識してもらう」ことは別の作業だと割り切ってから、少しずつ評価の伸び悩みが解消していきました。

「詳細を詰める」から「方向性を決める」への転換とも、実は地続き

振り返ると、この評価の伸び悩みは、SIerとコンサルの視座の違いと根っこは同じだったと感じています。方向性そのものを自分で決める仕事に変わった以上、成果を発信する主体も自分に変わるのは、ある意味で当然の帰結でした。

SIer時代は「方向性は決まっている前提で詳細を検討する」仕事が中心でしたが、コンサルでは方向性そのものを決める議論に関わることになります。評価の伝え方についても、誰かが決めた基準に沿って粛々とこなす姿勢から、自分の意思で発信していく姿勢への転換が必要だったのだと、今なら分かります。

この転換は一朝一夕には身につきません。私自身、最初の数ヶ月は「発信すること」自体に照れくささや抵抗感があり、頭では理解していても行動が伴わない時期がしばらく続きました。それでも意識して続けるうちに、少しずつ自然な習慣になっていったという感覚があります。

これから転職を考えるなら、面接の逆質問でも確認できること

「コンサル 評価制度 見極め方」で調べると、入社前に評価制度の有無や仕組みを確認しておくべきだという記事が見つかります。ただ、多くは「制度があるかどうか」の確認にとどまっていて、その制度の中で、黙って成果を出すタイプの人がどう評価される傾向にあるのかまで踏み込んで聞く発想はあまり書かれていません。

もし今、選考を控えている段階であれば、逆質問の時間に「自分から発信するのが得意でないタイプの人は、この会社でどう評価される傾向がありますか」と聞いてみるのも一つの方法だと思います。逆質問で実際に役立った質問でも、入社前に聞いておいてよかった質問を紹介しているので、参考にしてみてください。

これからコンサルを目指す方へ

今の仕事の中でも、成果を出すこと自体はできていても、それを誰かに言葉で伝える機会は意外と少ないのではないでしょうか。「黙っていても見てもらえる」という感覚は、転職後にコンサルの評価軸とぶつかりやすい前提の一つです。あらかじめこのことを知っておくだけで、入社後の戸惑いはかなり和らげられます。

転職を決めていない今のうちから、自分の仕事の進め方や工夫を、誰かに簡潔に説明してみる練習を始めてみるのもおすすめです。入社後ギャップの全体像はSIerからITコンサルへ転職して味わった入社後ギャップでもまとめているので、あわせてご覧ください。

気になるテーマがあれば、まずは自分のペースでオンライン講座で学んでみるのもおすすめです。伝え方や資料化のスキルも、独学である程度体系立てて身につけられます。

終わりに

「黙っていても見てもらえる」というのは、決して悪い姿勢ではありません。ただ、その前提が通用する組織と通用しない組織があるという事実を、転職前に知っておくかどうかで、入社後の受け止め方は大きく変わります。

評価基準そのものは、思っているより明確に示されることが多いはずです。あとは、それを自分から発信する一歩を踏み出せるかどうかにかかっています。転職前の今から、自分の仕事のプロセスを誰かに説明する練習を少しずつ積んでおけば、入社後にこの壁でつまずく期間を短くできるはずです。

タクマ

SIer(システムインテグレーター)でSE・プロジェクトマネージャーを経験したのち、IT/業務系コンサルティングファームへ転職。業界横断のプロジェクトに携わりながら、転職の実体験や入社後のギャップを発信しています。プライバシー保護のため、所属企業名・案件名など特定につながる情報は伏せています。

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