転職活動を始めた当初、私は職務経歴書をエージェントに頼らず、完全に自己流で作成していました。SIer(システムエンジニア)としてそれなりの年数を積んできた自負があったので、自分の経歴くらい自分で言語化できると思い込んでいたのです。結果として、応募した最初の企業で書類選考に落ちました。
面接にすら進めなかったことにも落ち込みましたが、それ以上にこたえたのは「なぜ落ちたのか」が自分では全く分からなかったことです。経歴に嘘は書いていませんし、むしろ大きな仕事に携わってきたつもりでした。この記事では、その後エージェントに指摘されて初めて気づいた、職務経歴書の根本的な勘違いについて書いていきます。
この記事でわかること
- 自己流の職務経歴書が書類選考で落ちる典型的な原因
- 「プロジェクトの規模」と「自分自身の経験」を混同してしまう罠の正体
- 書き直して実際に通過率が上がった、具体的な直し方3つ
自己流で書いた職務経歴書の中身
当時の職務経歴書を今読み返すと、恥ずかしくなるくらい「プロジェクトの規模」を語ることに文字数を費やしていました。利用者数が数十万人規模のシステム開発に携わったこと、延べ百人を超える体制のプロジェクトでマネジメントの一角を担ったこと。そうした事実を並べれば並べるほど、自分の市場価値が伝わると本気で思っていました。
大きな案件に関わってきたことと、自分自身の経験が評価されることは、まったく別の話でした。当時の私はそこを区別できておらず、プロジェクトの看板の大きさが、そのまま自分の評価につながると錯覚していたのだと思います。
具体的には「〇〇業界向け基幹システムの刷新プロジェクトに参画し、要件定義から本番稼働まで一貫して従事」といった書き出しから始まり、そのプロジェクトがいかに大規模で複雑だったかの説明が延々と続く構成になっていました。読み返してみると、主語がずっと「プロジェクト」のままで、「自分が何をしたか」という主語で書かれた文がほとんど出てこないことに気づきます。
書類選考に落ちて、初めてエージェントに見てもらった
一社目の選考に落ちた後、さすがに自己流のままでは危ないと感じ、転職エージェントに登録しました。担当者との初回面談で、参考までにと自己流の職務経歴書を見てもらったところ、開口一番で根本的な問題を指摘されました。
指摘の趣旨は、この職務経歴書には「あなた自身」がほとんど書かれていない、というものでした。書かれているのはプロジェクトやシステムの説明ばかりで、その中であなたが何を考え、どんな工夫をし、どんな課題にどう向き合ったのかという、本人の思考や行動のプロセスが読み取れないというのです。
採用担当者が本当に知りたいのはそこなのに、規模の話で紙面が埋まってしまっている、と言われ、正直かなり衝撃を受けました。
「プロジェクトの規模」と「自分の経験」を混同するSIer出身者にありがちな罠
コンサル転職の職務経歴書の書き方を調べると、定量的な実績を盛り込むべきだという情報は、エージェント各社のノウハウ記事でもよく見かけます。売上を前年比で伸ばした数字や、率いたチームの人数を書くこと自体は、決して間違いではないと思います。
ただ、そうした記事の多くは「何を数字で示すべきか」までは教えてくれても、その数字が「プロジェクトの手柄」なのか「自分自身の手柄」なのかを見分ける視点には、あまり踏み込んでいない印象があります。SIer(システムエンジニア)出身者は特に、大規模開発の一員として長期間関わることが多いため、「携わったシステムの規模」と「自分がそこで果たした役割」を無意識に一体化させて語ってしまいやすいのだと思います。
私自身、延べ人数や利用者数といった数字を並べれば説得力が増すと信じていましたが、それは実際にはプロジェクトの手柄であって、私個人の手柄として採用担当者に伝わる保証はどこにもありませんでした。この区別がつかないまま職務経歴書を書いてしまう失敗は、同じような経歴を持つ人ほど陥りやすい罠ではないかと感じています。
書き方をどう変えたか、変えてから何が起きたか
指摘を受けた後、エージェントと一緒に職務経歴書を根本から書き直しました。プロジェクトの規模を説明する記述は最小限にとどめ、代わりに「なぜその判断をしたのか」「他にどんな選択肢があり、なぜそれを選ばなかったのか」「うまくいかなかったときにどう立て直したか」を、一つひとつのエピソードごとに書き足していきました。
実際に書き直した3つのポイント
- プロジェクトの規模を説明する記述は最小限にとどめる
- 「なぜその判断をしたのか」「他にどんな選択肢があり、なぜそれを選ばなかったのか」を書き足す
- うまくいかなかったときにどう立て直したかを、エピソードごとに具体的に書く
正直、最初は自分の行動をそこまで細かく言語化する作業に苦労しました。当たり前にやっていたことほど、なぜそうしたのかを説明するのが難しいものです。それでも書き直したものを見て、担当エージェントから「これでようやく、あなた自身が見える職務経歴書になった」と言われたときは、それまでの書き方がいかに的外れだったかを実感しました。
書き直して以降、応募した企業の書類選考で落ちることはほとんどなくなりました。もちろん面接そのものの結果は別問題ですが、少なくとも「経歴を読んでもらった上で、会って話を聞いてみたい」と思ってもらえる土俵には立てるようになったのだと思います。
この失敗から伝えたいこと
振り返ると、この失敗は職務経歴書というフォーマットの問題というより、SIer時代の評価のされ方をそのまま引きずってしまったことが根っこにあるように思います。大きな案件、大きなシステムに関わること自体が評価される感覚が染みついていると、転職活動でも同じ物差しで自分を語ってしまいやすいのです。
コンサルの選考では、プロジェクトの規模ではなく、答えのない問いに対して自分がどう考え、どう動いたかという解像度の高さで評価される場面が多いと感じています。書類選考というごく初期の段階から、実はその評価軸への転換がすでに始まっていたのだと、今なら分かります。
もし今、自己流で職務経歴書を書き進めていて、なんとなく手応えのなさを感じているなら、一度誰かに読んでもらうことを強くおすすめします。良いエージェントの見極め方にも書きましたが、経歴の中身を丁寧に見て、率直に指摘してくれるエージェントに出会えるかどうかは、選考の通過率を大きく左右すると感じています。
選考全体で他にどんな失敗や気づきがあったかはITコンサルの選考で実際に何が起きたか、私が経験したことを全部書くにまとめていますので、あわせて読んでみてください。
もし自分の職務経歴書に同じような不安があるなら、コンサル特化のハイクラス転職エージェントに相談して、職務経歴書を客観的な目で見てもらう
のも一つの手だと思います。自分では気づけない視点を早い段階で入れておくことが、遠回りを避ける一番の近道でした。


