SIerのSE経験はITコンサルで評価されるのか|面接と入社後に感じた「評価された点」「されなかった点」

入社後ギャップ

コンサル転職の選考を受ける前、一番気になっていたのは「SIerでの経験が本当にITコンサルの選考で評価されるのか」という点でした。中堅SIerで7年ほど、要件定義から詳細設計、一部PM業務までを担当してきましたが、それがコンサルという畑違いに見える世界で通用するのか、正直まったく自信が持てませんでした。エージェント系のメディアを読むと「顧客折衝力やPM経験は評価される」と書かれてはいるものの、実際に選考を受けてみると、評価された点と、思ったほど響かなかった点がはっきり分かれました。今回はその実感を、良かった点も悪かった点も含めてそのまま書いていきます。

選考前に感じていた「経験が通用しないのでは」という不安

SIer時代の自分の仕事は、決められた要件を詳細化し、設計書に落とし込み、品質と納期を守って作り上げていくことが中心でした。技術寄りの実務経験ではあっても、コンサルタントに求められるような「経営課題を構造的に整理する」経験とは、正直かけ離れているように感じていました。書類選考の段階から、職務経歴書に何を書けば響くのか分からず、何度も書き直しました。

転職エージェントのサイトを見ると「SIer経験は評価されやすい」という趣旨の記事が多く並んでいますが、どれも一般論の域を出ず、自分の具体的などの経験が、どの場面で、どう評価されるのかまでは分からないまま選考に臨むことになりました。結果として、面接の場で初めて「評価される経験」と「そうでない経験」の輪郭がはっきりしていくことになります。

面接で確かに評価された、SIer時代の経験

実際に選考を受けて分かったのは、顧客と直接向き合ってきた経験そのものが、想像以上に高く評価されるという事実でした。要件定義の場面で顧客の言葉にならない要望を引き出し、時には無理な要求と現実的な落としどころの間で調整してきた経験を話すと、面接官の反応が明らかに変わりました。SIer時代は「当たり前の日常業務」だと思っていたその調整力が、コンサルの現場では希少なスキルとして扱われていることに、このとき初めて気づきました。

加えて評価されたのが、SIer時代に抱えていた葛藤をそのまま語ったときの反応です。受託開発というビジネスモデルの構造上、自社の利益と顧客の本当の利益が必ずしも一致せず、そこにジレンマを感じながら働いていたという話をすると、「その視点を持てていることが大事」と面接官から言われました。「正解」を語ることよりも、課題に対して自分なりの仮説や違和感を持てていたことのほうが評価されているのだと実感した瞬間でした。プロジェクトマネジメントの経験も、QCDを守りながら複数の関係者を動かしてきた実績として、素直に評価してもらえました。

逆に、思ったほど響かなかった経験もあった

一方で、自分では強みだと思っていたのに、思ったほど評価につながらなかった経験もありました。象徴的だったのが、技術選定の議論を深く語った場面です。ある案件でインフラ構成やミドルウェアの選定に相当な時間をかけて検討し、その技術的な妥当性を熱心に説明したのですが、面接官の反応は淡白なものでした。

後になって分かったのは、聞かれていたのは技術そのものの中身ではなく、「なぜその技術を選ぶという意思決定に至ったのか」という判断のプロセスと、その判断が経営上の論点とどうつながっていたのかという部分だったということです。技術に詳しいこと自体は、コンサルの選考ではそれほど中心的な評価軸ではなく、むしろ技術の話に寄りすぎることで「視座が低い」という印象を与えてしまう場面すらあるのだと痛感しました。エージェント系の記事では「技術力も強みになる」とだけ書かれていることが多いですが、実際にはどのレイヤーで語るかによって評価が真逆になり得るというのが、体験してみて初めて分かった部分です。

入社後に気づいた、「評価される経験」と「一歩届かない経験」の境界線

入社してからも、この境界線ははっきりと存在し続けました。顧客との折衝経験や、複数の利害関係者をまとめてきた調整力は、現場でもすぐに武器として機能しました。周囲のコンサルタントからも「顧客とのコミュニケーションの取り方が丁寧」と言われる場面が多く、SIer時代に培った経験がそのまま評価につながっていることを実感しています。

ただし、詳細を突き詰めようとする姿勢は、時に足かせにもなりました。ある提案の検討で、細部の実現可能性を詰めることに時間をかけすぎてしまい、上司から「まずはもっと大きな論点から考えてほしい」と指摘されたことがあります。SIer時代は「詳細を詰める仕事」が評価軸の中心でしたが、コンサルでは「方向性そのものを決める」上位レイヤーの議論に価値が置かれており、この視座の違いに慣れるまでにはかなり時間がかかりました。この視座のギャップについては、こちらの記事でさらに詳しく掘り下げています。

整理すると、「人と向き合ってきた経験」は評価され続ける一方で、「技術や詳細を突き詰めてきた経験」はそのままでは通用せず、語り方や視座を変換する必要があるというのが、選考から入社後まで一貫して感じてきたことです。この境界線を事前に知っているかどうかで、選考での自己アピールの精度も、入社後に苦しむ期間の長さも変わってくると思います。

これから転職を考えるSIer出身者へ伝えたいこと

これから選考を受ける方には、自分の経験を「何を作ったか」ではなく「その過程で何を考え、どう判断したか」に翻訳して語る準備をしておくことをおすすめします。顧客折衝や調整の経験は、そのまま強みとして語って問題ありません。一方で技術的な経験を語る場合は、技術の中身そのものではなく、その技術を選んだ意思決定の背景や、経営上の論点との接続を意識して言語化しておくと、評価のされ方が大きく変わるはずです。

入社後のギャップ全般については、こちらの記事で他のギャップと合わせて整理していますので、あわせて読んでみてください。

まとめ

SIerのSE経験は、ITコンサルの選考でも入社後の現場でも、間違いなく評価される部分があります。特に顧客と向き合ってきた調整力や、課題に対する自分なりの仮説を持てる姿勢は、想像していた以上に強みとして機能しました。一方で、技術や詳細を突き詰めてきた経験は、そのままの形では響きにくく、語り方や視座を変える工夫が必要でした。エージェント系の記事は「SIer経験は評価されやすい」という前向きな面ばかりを伝えがちですが、実際には評価される部分とされにくい部分がはっきり分かれています。その境界線をあらかじめ知っておくことが、選考でも入社後でも遠回りを減らす近道になると感じています。

SIer経験をコンサル転職でどう活かせるか、情報を整理してみる

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