SEからPMになった日、仕事の中身が一変した|SIerでのキャリアアップで直面したリアル

SIerでSEからPMへキャリアアップしたビジネスパーソン コンサル転職前のリアル

SIerでSE(システムエンジニア)として経験を積んでいくと、多くの人が一度は意識するのが「PMになる」というキャリアアップです。私自身も、目の前の技術課題を一つひとつ解決していくことにやりがいを感じながらも、いつからか「次はPMとして案件全体を任されたい」と考えるようになっていました。

ただ、実際にPMになってみると、想像していたのとはかなり違う景色が広がっていました。この記事では、SEからPMへのキャリアアップで実際に何が変わり、何に戸惑ったのかを、できるだけ率直に書いておこうと思います。

この記事でわかること

  • SEからPMになって実際に変わったこと(役割・評価の物差し)
  • PMになって見えたSIerというビジネスモデルの限界
  • SEからPMを目指す人に伝えたいこと

SEとして技術を磨いていた頃、PMは「憧れの役職」に見えていた

新卒でSIerに入社してから数年間は、目の前のシステムをどう作るか、どう不具合を直すかという技術的な問題に向き合う日々でした。設計書とにらめっこしながら実装を進め、テストで想定外の挙動が出れば原因を追ってつぶす。

地道な作業ではありましたが、自分の手で問題を解決できているという実感があり、それが仕事のやりがいそのものでした。周囲の先輩PMを見ていると、予算やスケジュールを管理し、顧客や上層部と調整しながらプロジェクト全体を動かしている姿がかっこよく見え、「いずれは自分もあの立場で仕事をしたい」と漠然と憧れていたのを覚えています。

昇格の内示を受けた日、素直に喜べなかった理由

入社して6年目でプロジェクトリーダーを任されるようになり、その後、8年目に差し掛かったころ、正式にPMとして案件を任されることになりました。上司から内示を受けたときは、もちろん嬉しさもありました。

ただ同時に、素直に喜びきれない自分もいたのです。理由を突き詰めると、それは「これからは、自分がコードを書いたり不具合を直したりする側ではなく、それを人に任せて管理する側になる」ということへの漠然とした不安でした。

技術で評価されてきた自分が、これから何で評価されるのか、正直なところ想像がついていませんでした。

一番戸惑ったのは、自分の手で問題を解決できなくなったこと

PMになってからのキャリアパスを解説する記事はいくつも読みましたが、そこに書かれているのは「上流工程を担当できるようになる」「PLやテックリードの経験を積む」といった、役職に至るまでの道筋の説明がほとんどでした。実際にPMになって一番苦しかったのは、そうした道筋の先にある現実の方です。

目の前で誰かが不具合に苦しんでいても、自分が手を動かして解決するのではなく、担当者に任せて進捗を見守ることしかできないもどかしさに、想像以上に苦しめられました。「自分がやった方が早いのに」という気持ちを飲み込み、あえて手を出さずに任せる判断を続けるのは、技術者としての本能に逆らうような感覚があったのです。

この感覚は、実際にPMという立場を経験してみないとなかなか実感できないものだと思います。少なくとも私は、キャリアパスの説明記事をいくら読んでも、この「手放すつらさ」までは想像できていませんでした。

評価の物差しが「技術力」から「人を動かす力」に変わった

もう一つ大きく変わったのが、評価される基準そのものでした。SEだった頃は、難しい技術課題を解決できるか、品質の高いコードを書けるかが評価に直結していました。

ところがPMになると、メンバーが気持ちよく動ける環境を作れているか、顧客や上層部との調整をうまく回せているか、といった「人を動かす力」が評価の中心になっていきました。自分では技術者としての矜持を大事にしていたつもりでしたが、いつの間にか、チームの誰よりも技術に詳しいことよりも、チーム全体をどう機能させるかを考える時間の方が圧倒的に長くなっていたのです。

正直なところ、この切り替えには半年以上かかりました。技術力への自負を一旦脇に置き、調整役・意思決定役としての振る舞いを一から学び直す感覚に近かったと思います。

PMになって初めて気づいた、SIerというビジネスモデルの限界

PMという立場になると、顧客との予算交渉や契約範囲の調整にも関わるようになります。その中で徐々に見えてきたのが、SIerという受託開発のビジネスモデルが持つ構造的な難しさでした。

顧客のためを思えば追加で対応した方がよい要望があっても、契約範囲や自社の採算を無視することはできません。顧客の本当の利益と、自社の利益を両立させようとするたびに、どこかで折り合いをつけなければならない場面に何度も直面しました。

SE時代には見えていなかった、ビジネスとしての難しさをPMという立場で初めて実感することになったのです。

SEからPMになって変わった3つのこと

  • 自分の手で問題を解決するのではなく、人を動かして解決する立場になった
  • 評価の物差しが「技術力」から「人を動かす力」に変わった
  • 顧客との予算交渉・契約範囲の調整に関わり、受託開発の構造が見えてきた

PM経験は、後にコンサルへの転職を考えるきっかけになった

今振り返ると、SEからPMへのキャリアアップで経験した「詳細を詰める仕事から、全体の方向性を決める仕事への移行」は、後にITコンサルへの転職を考えるようになった一つのきっかけだったと思います。PMとして案件の方向性を決める立場になったとはいえ、あくまで自社が受注した契約範囲の中での意思決定でした。

もっと上位のレイヤーで、顧客の利害だけを純粋に考えた意思決定に関わってみたいと思うようになったのは、この頃からです。この視座の変化については、以前の記事「詳細を詰める仕事」から「方向性を決める仕事」へ|SIerとコンサルの本質的な視座の違いで詳しく書いていますので、あわせて読んでみてください。

これからSEからPMを目指す人に伝えたいこと

SEからPMへのキャリアアップは、多くのSIer出身者にとって一つの目標になる分岐点だと思います。ただ、役職や年収が上がるという表面的な変化だけでなく、評価される基準そのものが「自分で解決する力」から「人に任せて動かす力」へと入れ替わるという本質的な変化が伴うことは、事前に知っておいた方がいいと感じています。

この変化に戸惑うこと自体は、決しておかしなことではありません。私自身、慣れるまでにかなりの時間がかかりましたが、その経験があったからこそ、その先のキャリアについても具体的に考えられるようになりました。

SIerからITコンサルへの転職も含めたキャリア全体の選択肢については、SIerからITコンサルへ転職する方法|経験の活かし方・選考対策・年収相場でも整理していますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

PMとしての経験を体系立てて言語化しておきたい方は、ビジネス基礎スキルをオンライン講座で学んでみるのも一つの方法です。

タクマ

SIer(システムインテグレーター)でSE・プロジェクトマネージャーを経験したのち、IT/業務系コンサルティングファームへ転職。業界横断のプロジェクトに携わりながら、転職の実体験や入社後のギャップを発信しています。プライバシー保護のため、所属企業名・案件名など特定につながる情報は伏せています。

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