SIerからITコンサルへの転職を考えたとき、正直に言えば一番気になっていたのは年収でした。仕事のやりがいやキャリアの広がりも大事ですが、生活がかかっている以上、年収がどう変わるのかは避けて通れないテーマです。
転職を決める前、エージェント各社のサイトや口コミをかなり読み込みましたが、そこにあるのは「年収100万円アップ」「300万円アップの事例も」といった、増加額だけを切り取った紹介がほとんどでした。この記事では、そうした額面の話だけでは見えてこなかった、年収の中身の変化について、できるだけ率直に書いておこうと思います。
この記事でわかること
- 額面年収は実際どれくらい変わったか
- オファー年収の「内訳」を確認すべき理由
- 成果主義への転換で戸惑ったこと
額面年収は実際どれくらい変わったか
中堅どころのSIerでSE(システムエンジニア)・PMとして実務を積んでいた頃の年収は、同年代の中では悪くない水準だったと思います。それがITコンサルへ転職した際、額面ベースでは100万円台後半から200万円台前半程度のアップとなりました。
エージェントの紹介記事にあるような「300万円アップ」ほどの派手な数字ではありませんでしたが、それでも十分にインパクトのある変化だったのは事実です。ただし、この数字だけを見て「コンサルに転職すれば年収が上がる」とシンプルに捉えてしまうと、後述するギャップに戸惑うことになります。
オファーの年収は、内訳まで見ておくべきだと痛感した話
もう一つ、実際にオファーを受け取った際に強く意識するようになったのが、提示された年収の「内訳」です。額面の総額だけを見て一喜一憂しそうになりましたが、よく確認すると、その中に転職時特有の一時金(サインオンボーナスのようなもの)が含まれているケースがありました。
この一時金は入社初年度限りのものであることが多く、その分だけ年収水準が実態より高く見えてしまうのがポイントです。
翌年度以降は、この一時金がなくなる分だけ年収ベースで下がる可能性があります。もちろん、翌年度以降は評価に応じた賞与等で別の形で水準が上がっていく可能性もあるため、一時金があること自体が悪いわけではありません。
ただ、額面の大きさだけで判断せず、内訳(基本給・賞与・一時金等の構成)と、翌年度以降どうなりそうかまで確認したうえで、納得してからオファーを受けるのがよいと、今振り返って思います。
SIer時代の年功序列カーブとの体感差
SIer時代の給与は、良くも悪くも年次と役職に応じて、ある程度決まったペースで上がっていく仕組みでした。突出して評価される年もなければ、大きく下がる年もない。
「このペースで働いていれば、数年後にはこれくらいの年収になっているだろう」という見通しが立てやすかったのが、年功序列型の給与体系の特徴だったと思います。良くないと感じていた部分もありましたが、少なくとも将来設計はしやすいという安心感がありました。
この感覚があったからこそ、転職後に給与の仕組みが根本的に変わったことに戸惑うことになります。
「この先どうなるか読めない」という新しい種類の不安
転職エージェントの記事では触れられていない、実際に転職してみて一番戸惑ったのはここです。ITコンサルの給与は、評価によって賞与やグレードが変動する成果主義的な仕組みが中心になっています。
額面の年収自体は上がったものの、その水準を維持できるかどうかは毎年の評価次第で、SIer時代のように「頑張っていれば自然に積み上がっていく」という感覚が通用しなくなりました。上がった年収を素直に喜べる一方で、来年もこの水準を維持できるのか、評価が下がれば賞与にどう跳ね返るのか、という不確実性を常に抱えることになったのです。
これは単なる「頑張れば評価される」という話ではなく、成果を出しても、それを目に見える形でアピールできなければ正当に評価されにくいという、SIer時代とは異なる評価の仕組みそのものへの適応が必要でした。年収の「額」だけでなく、「額の決まり方」が変わったことこそが、実感として一番大きなギャップだったと思います。
受け身の姿勢のままでは、年収に反映されない
SIer時代は、与えられた役割をきちんとこなしていれば、年次が上がるにつれて自然と評価も給与もついてくる感覚がありました。極端に言えば、目立ってアピールをしなくても、真面目に業務を積み重ねていれば周囲から見てもらえる文化があったように思います。
ところがコンサルに移ってからは、この感覚のままでいると、評価も年収の伸びも頭打ちになりやすいと痛感しました。
自分が担当した仕事の成果や工夫を、自分の言葉で言語化し、周囲や評価者に伝えていく姿勢がなければ、いくら実務で成果を出していても年収には反映されにくいのです。これは謙遜が美徳とされがちなSIer時代の感覚とはかなり違っていて、最初のうちは「自分の手柄をアピールするようで気が引ける」という抵抗感もありました。
ただ、これも慣れの部分が大きく、成果を淡々と記録して伝える習慣をつけることで、次第に無理なくできるようになっていきました。
年収交渉で転職エージェントに助けられたこと
年収の話でもう一つ触れておきたいのが、条件交渉の場面です。自分一人で企業に希望年収を伝え、正面から交渉するのはかなり気が重い作業でした。
この点では、担当してくれた転職エージェントが、こちらの希望と企業側の提示額の間に立って、根拠を示しながら交渉を進めてくれたことが大きな助けになりました。単に「もう少し上げてください」と伝えるだけでなく、これまでの経験がどう評価されるべきかを整理した上で交渉してくれたことで、自分では言い出しにくい部分をカバーしてもらえたと感じています。
また、他社の選考結果が出るまで返答を待ってもらえるよう企業側と調整してくれたことで、焦って条件を飲む必要がなくなり、落ち着いて比較検討できたことも大きかったと思います。
年収面で戸惑った・確認しておくべきだった3点
- オファー年収の内訳(転職時の一時金が上乗せされている可能性)
- SIer時代の年功序列カーブと違い、この先の年収が読みにくいこと
- 受け身の姿勢のままでは、成果を出しても年収に反映されにくいこと
年収だけで転職を決めなかった理由
ここまで年収の変化について書いてきましたが、実際のところ、年収の伸び幅だけを見て転職を決めたわけではありませんでした。むしろ、成果主義への転換で先が読みにくくなる不安も含めて、それでも挑戦する価値があるのかを何度も自分に問い直す時期がありました。
この決断直前の迷いについては、以前の記事転職を決断する直前の迷い・葛藤とどう向き合ったかで詳しく書いています。年収というわかりやすい指標だけでは測れない迷いがあったからこそ、後悔の少ない決断につながったのだと思います。
これからSIerからコンサルへの転職を考える人へ
SIerからITコンサルへの転職は、額面年収を押し上げてくれる可能性が高い選択肢だと思います。ただし、その増加額の紹介だけを見て期待値を固めてしまうと、成果主義という給与の「決まり方」の変化に後から戸惑うことになりかねません。
年収が上がること自体は事実である一方、上がった年収をどう維持し、どう伸ばしていくかは自分の働き方次第になるという前提を持っておくと、転職後のギャップは小さくできるはずです。転職の全体像や経験の活かし方については、SIerからITコンサルへ転職する方法|経験の活かし方・選考対策・年収相場でも整理していますので、あわせて参考にしてみてください。
自分の経験がどう評価され、年収にどう反映されるのか気になる方は、こちらもあわせてチェックしてみてください。


