SIerで働いていた頃、社内の飲み会や懇親会に参加しても、結局最後まで一緒にいるのはいつも同じメンバーでした。同じプロジェクトの人、同じ部署の人と固まって話すのが当たり前で、それ以上に交流の輪を広げようという発想自体、ほとんど持っていなかったように思います。
ところがITコンサルに転職してから、気づけば自分の行動パターンが大きく変わっていました。今回は、SIer(システムエンジニア)からITコンサルへ転職した一人称の実体験として、多様なバックグラウンドを持つ同僚と働く中で感じた、人との関わり方の変化について書いてみます。
この記事でわかること
- 転職後、知らない人とばかり話すようになった変化
- 交流範囲を意識的に広げた実利的な理由
- 多様な同僚と働く中での戸惑いと、その活かし方
SIer時代、「顔見知りとだけ」が当たり前だった理由
今振り返ると、SIer時代は同じプロジェクトに長く所属することが多く、日々顔を合わせるメンバーがある程度固定されていました。新しい人と積極的に関わらなくても、目の前の仕事は問題なく回っていく環境だったのだと思います。
「知らない人と話す必要性」自体を感じにくい構造だったのが、当時の実感に近いです。飲み会も、いつものメンバーで集まって、いつもの話題で盛り上がる。それが心地よくもあり、同時にそれ以上を求める理由もなかったのだと思います。
気づけば知らない人とばかり話すようになっていた
転職して最初の社内懇親会に参加した時のことは、今でもよく覚えています。案内された席に座ったら、隣にいたのは自分がまったく関わったことのない案件を担当している人ばかりでした。
最初は正直、少し身構えました。ただ話してみると、金融系の案件を担当している人、前職が事業会社だった人、コンサル以外の専門職から転職してきた人など、経歴も専門領域もバラバラで、単純に話していて面白いと感じる場面が多かったのです。気づけば、仕事で直接関わったことのない人とも積極的に話すようになっていた自分がいました。
これは一度きりの出来事ではなく、その後の飲み会や社内イベントでも同じ傾向が続きました。SIer時代とは明らかに違う、自分の行動パターンの変化だったと思います。
なぜ意識的に交流範囲を広げるようになったのか
この変化について自分なりに理由を考えてみると、単に「多様な人がいて楽しいから」だけではない、もう少し実利的な理由があったように思います。コンサルは一人ひとりの強み・バックグラウンドの個性の幅が、SIer時代よりも明らかに大きいと感じていました。
それぞれの得意領域を普段から把握しておくことで、何か困った時に相談できる相手の選択肢が広がるという感覚があります。特定の業界知識が必要な場面、特定のツールの使い方に詰まった場面など、自分の専門外の課題にぶつかった時、「あの人なら詳しいかもしれない」と思い浮かぶ相手が多いほど、仕事の進めやすさが変わってきます。
もちろんSIer時代にも人それぞれの個性はありましたが、業界経験・専門性のバラエティという意味では、コンサルほどの幅は感じられませんでした。この違いが、交流範囲を広げる意識につながったのだと思います。
実際、あるプロジェクトで想定外のトラブルが発生した際、以前の懇親会で知り合っただけの他部署のメンバーにふと相談してみたところ、過去に似たケースを経験していて、思いがけず的確なアドバイスをもらえたことがありました。仕事で一度も関わったことのない相手だったからこそ、自分では思いつかなかった視点が返ってきたのだと思います。
多様な同僚と働く中で感じた戸惑いもある
ここまで良い面ばかり書きましたが、多様なバックグラウンドの同僚と働くことは、良いことずくめというわけではありません。育ってきた業界・組織文化が違えば、当然ながら仕事の進め方や、当たり前だと思っている前提も違います。
同じ言葉を使っていても、業界によってニュアンスが微妙に違っていて、話がかみ合わないと感じた場面も正直ありました。相手の前提を確認しながら話す一手間が、SIer時代の同質性の高い環境に比べて増えたのは事実です。
それでも、こうした前提のすり合わせ自体が、クライアントとの仕事にも通じる訓練になっている感覚があります。「相手にとっての当たり前」を確認する癖がついたことは、結果的にプラスに働いていると感じています。
多様な同僚と働いて分かったこと
- 得意領域を普段から把握しておくと、困った時に相談できる相手が増える
- 業界ごとに前提・言葉のニュアンスが違い、確認の手間は増える
- その「前提のすり合わせ」が、クライアントとの仕事にも通じる訓練になる
エージェント記事の「メリット」と、実際に感じた違い
ITコンサルへの転職メリットを調べると、「経営層に近い視点で意思決定に関われる」「異業種出身者の採用が進んでいる」といった説明はよく見かけます。たしかに間違ってはいませんが、こうした記事の多くは、同僚の多様性そのものが日々の働き方や人との関わり方をどう変えるのか、という具体的な部分までは書かれていないように感じます。
実際に転職してみて分かったのは、「異業種出身者が多い」という事実そのものより、それによって自分の交流範囲・相談範囲が意識的に広がったという行動の変化の方が、日々の働きやすさに直結していたということです。これは一般論としての「メリット」を読むだけでは、なかなか実感しにくい部分だと思います。
SIer出身者だからこそ感じるギャップかもしれない
SIer(システムエンジニア)として長く同じような組織構造の中で働いていると、固定されたメンバーとの関係に慣れてしまい、それが当たり前だと思い込みやすい面があります。だからこそ、コンサルに転職した時のこの変化は、自分にとって想像以上に新鮮な驚きでした。
入社後のギャップというと、資料作成のレベルや議論のスピード感についていけなかった話など、苦労した面がクローズアップされがちです。そうした苦労についてはコンサル転職後、資料作成・議論についていけなかった私が克服のためにやったこと5つで書いていますが、今回のような「良い意味でのギャップ」もあるということは、もっと知られてもいいと思っています。
上司・同僚との距離感の近さについても、SIer時代とは大きく違う実感がありました。あわせて「困った時、定時後でも相談できた」コンサル転職で驚いた上司・同僚との距離感の近さを読んでいただくと、組織文化まわりのギャップをより立体的に捉えていただけると思います。
多様な同僚から刺激を受けるほど、自分自身の専門外の領域についても、ある程度の土台を持っておきたいと感じるようになりました。特定の分野を深く掘るというより、オンライン講座で幅広いジャンルの知識に触れてみるような学び方が、こうした環境には合っている気がしています。相談できる相手を増やすだけでなく、自分自身も誰かに頼られる引き出しを増やしていきたいと思っています。


