転職を検討している方からよく聞かれる質問のひとつに、「コンサル1年目って、実際どんな1日を過ごしているんですか」というものがあります。検索すると、9時に出社して10時に定例会議、といった分刻みのタイムテーブルを紹介する記事がたくさん出てきます。自分も転職前はそうした記事を読んで、なんとなく1日の流れをイメージしようとしていました。
ただ、実際にSIer(システムエンジニア)からコンサルへ転職して数年働いてみて感じたのは、「モデルケース」として紹介されるような決まったスケジュールは、正直なところ存在しないということでした。今回は、その「型のなさ」も含めて、一人称の実体験としてできるだけ具体的に書いてみたいと思います。
この記事でわかること
- よく紹介される「モデルスケジュール」に感じた違和感
- 案件が違っても共通して感じた3つのこと
- 1年目特有の「型がない」ことへの戸惑い
よく紹介される「モデルスケジュール」に感じた違和感
転職エージェント系のメディアや会社紹介ページを見ると、「9:00 出社・メールチェック」「10:00 クライアント定例」「12:00 昼休憩」「13:00 資料作成」というように、きれいに整った1日が紹介されていることが多いです。転職活動中の自分は、これを読んで漠然とした安心感を得ようとしていました。
ところが入社してみると、そのイメージ通りの日はむしろ少数派でした。案件やクライアント、そのときのプロジェクトのフェーズによって、1日の中身はまったくと言っていいほど変わります。ある週は終日クライアント先での会議とヒアリングで埋まり、別の週はオフィスにこもって資料作成にひたすら向き合う、ということも普通にありました。
実際は「案件次第」で1日の中身がまったく違う
これは正直に断っておきたいのですが、この記事でこれから書く内容も、あくまで自分がこれまで携わってきた案件をならしたひとつの実感にすぎません。関わるクライアントの業界、プロジェクトの規模、自分の役割によって、1日の過ごし方は大きく変わります。
それでも「型がない」で話を終わらせてしまうと、読者にとって参考にならないと思うので、案件をまたいで共通して感じてきたことを、次の見出しから3つに絞って紹介します。
具体例を挙げると、業界調査やデータ整理の比重が大きい案件のときは、オフィスで一人で資料と向き合う時間が1日の大半を占めていました。一方、クライアント先に常駐に近い形で入る案件のときは、朝から晩まで現場でのヒアリングと会議が続き、資料作成は夜に持ち越すことも珍しくありませんでした。
同じ「コンサル1年目」という肩書きでも、この2つの案件を経験した1日はまったくの別物です。だからこそ、ネット上の「モデルスケジュール」をそのまま自分に当てはめて不安になる必要はない、というのが今なら言えることです。
共通して感じたこと①会議が終わった瞬間からの動き出しの速さ
案件が違っても共通して感じるのは、サイクルの速さです。会議が終わった直後にその場でラップアップ(振り返り)を行い、決まったことと次に誰が何をするかを、その場で言語化してしまう場面が多くありました。
SIer時代は、会議の内容をいったん持ち帰り、社内で検討してから次のアクションを固める、という「間」があるのが当たり前でした。コンサルでは、その「持ち帰って検討する」間が驚くほど短く、会議室を出る前にはもうタスクとして動き出していることが多いと感じています。最初の頃は、このスピード感についていくだけで精一杯でした。
共通して感じたこと②頭を使う時間はあっという間に過ぎる
もうひとつ共通して感じるのが、時間感覚の変化です。資料の骨子を考えたり、論点を整理したりといった、頭を使うことに集中する時間に入ると、気づけば数時間が経っていることがよくあります。
SIer時代にも集中して作業する時間はもちろんありましたが、コンサルに来てからのほうが、この「気づいたら時間が飛んでいた」という感覚を持つ頻度は増えたように思います。良く言えば没頭できているということですが、悪く言えば、体感で時間のコントロールがしづらいとも言えます。
共通して感じたこと③定時後でも相談に乗ってもらえる(乗ってしまう)文化
3つ目は、定時を過ぎた時間帯でも、困ったときは周囲に相談しやすい文化があるということです。これは良い面として紹介されることが多いですし、実際に自分も何度も助けられました。
ただ正直に書くと、これは「助け合いの文化」と表裏一体で、仕事の区切りが曖昧になりやすい側面でもあると感じています。本当に困っている時に遅い時間でも相談できるのはありがたい一方、それが当たり前になりすぎると、自分の中で「今日はここまで」という線を引きにくくなる瞬間もありました。この距離の近さについては、助け合いの文化・上司との距離感、SIer時代との違いでも別の角度から書いていますので、あわせて読んでいただくと立体的に伝わるかと思います。
案件が違っても共通して感じた3つのこと
- 会議が終わった直後に、ラップアップして次のアクションを決める動き出しの速さ
- 頭を使う時間があっという間に過ぎる時間感覚
- 定時後でも相談に乗ってもらえる(乗ってしまう)文化
「型」がないことへの戸惑いは、1年目特有のものだったと思う
今振り返ると、「型がない」ことへの戸惑いが一番大きかったのは、まさに1年目の頃でした。決まったスケジュールに沿って動くことに慣れていたSIer時代の感覚が抜けきらないうちは、案件によって1日の過ごし方がまるで違うこと自体に、地味にストレスを感じていたように思います。
この「型のなさ」への戸惑いも含め、1年目という時期そのものに感じていた大変さについては新卒SIer1〜3年目が辛いと感じる理由と乗り越え方とも通じるところがあります。年次を重ねるにつれて、「型がないこと」自体を前提として動けるようになっていった、というのが今の実感です。
もしこれからコンサルへの転職を考えていて、「1日の流れが読めない働き方」に不安を感じるようであれば、まずは物事を構造的に捉える考え方や、限られた時間の中で優先順位をつける考え方に、日頃から少しずつ触れておくことをおすすめします。オンライン講座で、ロジカルシンキングや時間の使い方に関する講座を覗いてみるのも、心の準備のひとつとして悪くない選択だと思います。


