「自分はSEに向いていないのではないか」――SIerで働いていた頃、ふとそう感じる夜が何度かありました。
「SE 向いてない」で検索すると、向いている性格・向いていない性格を一覧化したチェックリストや、几帳面な人が多い一方で大雑把な人も活躍しているといったアンケート結果を紹介する記事がよく見つかります。中には、辛さの原因は「SEという仕事そのもの」ではなく別の場所にあるかもしれない、と指摘する記事もありました。
ただ、その「別の場所」が具体的に何を指すのかまで踏み込んで書かれているものは、当時検索していた私にはあまり見つかりませんでした。チェックリストに当てはめて一喜一憂しても、自分がどの場面で苦しくなるのかという解像度までは上がらなかったというのが正直な感想です。
SIer(システムエンジニア)としてSE〜PMの実務を数年〜10年ほど経験したのち、ITコンサルタントへ転職した私が、当時どんな場面で「向いてないかも」という悩みを感じ、何に気づいて考え方が変わったかを、この記事では振り返ります。
この記事でわかること
- 当時「SEに向いてないかも」と感じていた、具体的な場面とタイミング
- その不安と向き合う中で、当時意識して変えたこと
- 「向いてない」と「仕事の内容が合わない」の違いに気づいたきっかけ
当時感じていた「SEに向いてないかも」という悩みの正体
SIerに入社して数年が経った頃、ふと「自分はこの仕事に向いていないのではないか」と感じる時期がありました。周囲の同期が着実に技術を身につけていくように見える一方で、自分は目の前の作業をこなすだけで精一杯で、成長している実感を持てずにいました。
当時は、几帳面さや論理的思考力といった、いわゆる「SE向きの性格」が自分には足りないのだと思い込んでいました。性格そのものを変えようとしても簡単には変わらず、その分、不安はますます大きくなっていきました。
振り返ってみると、この不安は常に一定の強さだったわけではなく、ある特定の場面に差しかかったときだけ急激に強くなる、という特徴がありました。漠然と「向いてない」という言葉でまとめてしまうと、かえってその特定の場面が見えなくなってしまいます。
具体的につまずいた場面:障害対応と、代わり映えしない日々
一番強く「向いてないかも」と感じたのは、平常時の学習不足よりも、本番環境でのトラブル対応・障害対応の場面でした。限られた時間の中で原因を特定し対処しなければならない状況で、自分の知識・経験の不足を痛感する場面が何度もありました。
冷静に手順書通りに対応できる同僚を横目に、自分だけが場当たり的な対応になっている気がして、「エンジニアとしての地力が足りない」と落ち込むことが続きました。夜間対応の呼び出しがかかるたびに、気が重くなっていたのを覚えています。
もう一つ、じわじわと不安を強めたのが、似たような業務の繰り返しでした。同じような案件、同じような作業が続くと自分が本当に成長できているのか実感が持てなくなり、「このまま同じことを繰り返すだけなのではないか」という不安につながっていきました。
この二つは性質が違う悩みのはずなのに、当時の自分はどちらも「SEに向いてない証拠」として一緒くたに受け止めていました。今思えば、ここで原因を分けて考えられていれば、もう少し気持ちは楽だったはずです。
当時、意識して変えたこと3つ
- 障害対応で感じた知識不足は、特効薬を探すのではなく、ログ・仕様書を地道に読み込む時間を日常的に確保するようにした
- 同じ業務の繰り返しに感じたときは、作業の手順そのものではなく「なぜこの手順なのか」を一段掘り下げて考える癖をつけた
- 「向いてない」と感じた瞬間をメモに残し、後から見返して場面に共通点がないか確認するようにした
特別な技を使ったわけではありませんが、こうして場面を具体的に書き出すようにしてから、「向いてない」という漠然とした不安が、「この場面が苦手」という扱いやすい課題に変わっていった実感があります。メモは三日坊主にならない程度に、気が向いたときだけ書く緩さでも十分でした。
「向いてない」ではなく「仕事の内容が合わない」だったのかもしれない
後になって気づいたのは、当時の「向いてないかも」という感覚の多くが、SEという仕事そのものへの不適性ではなく、特定の業務内容・特定の役割との相性の問題だったということです。
性格の向き不向きを測るチェックリストでは、この「業務内容との相性」という軸はほとんど見えてきません。実際、障害対応の緊張感は苦手でも、要件を整理して資料にまとめる作業は得意、ということは十分にあり得ます。
この視点に立てるようになったのは、同じ技術領域の中でも役割が変わるタイミングを経験してからでした。担当する業務の重心が変わっただけで、以前は「向いてない」と感じていた場面に対する苦手意識が薄れていったのです。
新卒〜若手時代の辛さそのものについてはこちらの記事で、技術キャッチアップに疲れを感じたときの考え方についてはこちらの記事でも詳しく書いていますので、あわせて参考にしてください。
これからコンサルを目指す方へ
今まさに「自分はSEに向いていないのではないか」と感じている方に伝えたいのは、その感覚を性格の問題として一括りにせず、どんな場面でその感覚が強くなるかを一度書き出してみてほしいということです。
特定の業務内容への苦手意識は、次のキャリアを考える上での重要な手がかりになります。SIer時代に感じた不適性の正体が分かれば、コンサルを含む次の選択肢を選ぶ際に、何を重視すべきかも見えやすくなるはずです。
転職活動を始める前の今の段階からでも、このメモ出しは始められます。実際に動き出す時期が来たときに、自分の志望理由や強みを言葉にする土台にもなるはずです。
コンサル転職前のSIer時代に感じていたことはこちらの記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。
体系的に学び直したい場合は、無理のない範囲でオンライン講座を試してみる価値はあると思います。自分の業務内容との相性を考えるきっかけとしても、新しい領域に触れてみることは役立ちます。

