「コンサルに転職したら、1年目でまず何を身につければいいんだろう」と考えたことはありませんか。
検索すると、ビジネススキルを網羅的にまとめた書籍や、転職エージェントが発信する「コンサル1年目に求められる力」の解説記事がすぐに見つかります。資料作成のスピード、結論から話す型、ロジックツリー。どれも正しいのですが、実際に1年目を過ごした人間として振り返ると、これらは「最初に教わる順番」ではあっても「最初に自分の中で身につく順番」ではありませんでした。
この記事では、SIer(システムエンジニア)出身の私が、コンサル1年目に実際にどの順番で何が身についていったかを振り返ります。網羅的なスキル一覧ではなく、自分の実感に基づいた時系列の話です。
この記事でわかること
- 書籍・エージェント記事が示す「学ぶべきこと」と、実際に身につく順番がずれる理由
- SIer出身者が最初に戸惑いやすいポイントと、それをどう乗り越えたか
- 1年目から数年目にかけて、学び方そのものがどう変わっていったか
書籍やエージェント記事が示す「学ぶべきこと」と、実際の順番のズレ
「コンサル1年目が学ぶこと」というテーマでよく挙がるのは、結論から話す、数字という事実で語る、ロジックツリーを使いこなす、といった整理されたビジネススキルです。こうした書籍やまとめ記事は、外資系コンサル出身者が身につけているスキルを後から体系立てて整理したものが多く、網羅性という点では非常によくできています。
ただし、これらは「振り返って整理するとこうなる」という完成形の順番です。実際に1年目を過ごしている最中は、この目次の通りに1番から順番に身についていくわけではありません。資料の型を覚える前に、もっと土台の部分でつまずく時期があります。
実際に最初につまずいたのは、資料作成のテクニックではなかった
SIer時代、私は与えられた要件や仕様の「詳細を詰める」仕事が中心でした。方向性は既に決まっており、その枠の中で精度を上げることに力を注いでいれば評価されていました。
コンサルに転職して最初に面食らったのは、パワーポイントの構成テクニックよりも前に、「答えが分からない論点に対して、まず自分なりの仮の見解を持つ」こと自体ができなかった点でした。会議で「どう思う?」と聞かれても、正解が用意されていない以上、何も言葉にできない時間が何度もありました。
実際に身についた順番(本の目次とはずれていた)
- 分からないことを分からないまま放置せず、言葉にして持ち帰る姿勢(1年目序盤)
- 正解が見えない状態でも、手探りで仮の形(仮説・たたき台)を作って進める動き方(1年目中盤)
- ようやくここで、1スライド1メッセージなど資料・プレゼンの型を意識できるようになった(1年目後半以降)
書籍やまとめ記事が3番目の「型」から先に紹介しているのは、整理としては分かりやすいからだと思います。しかし実際の現場では、1番・2番の土台がないまま型だけを覚えても、資料の見た目は整っても内容が空疎になりがちでした。
数年目の今、学び方そのものも転換した
1年目の頃は、答えの分からない論点を振られると手が止まってしまうことが多くありました。今は手探りながらも、検討の方向性や資料のアウトプットイメージをある程度自分の中で想像してから着手できるようになっています。「正解が分かってから動く」のではなく「正解が分からない前提で、まず仮の形を作りながら進める」という動き方自体が、年次を重ねて一番変わった点です。
学ぶ対象そのものも変わりました。SIer時代は特定の製品・技術を深く掘ることが評価軸になりやすかったのですが、コンサルになってからは、幅広い領域の要点を押さえておくことの方が重要だと感じています。エントリーレベルの資格を複数取得したり、Udemyなどでジャンルを絞らず様々な講座に触れておく習慣が、結果的に「広く浅く」のニーズに合っていました。
SIer出身者がこの順番でつまずきやすい理由
SIer時代の仕事は、方向性が決まった枠の中で詳細を検討する比重が大きいため、「仮の答えを自分から出す」という動き方自体に慣れていない人が多いと感じます。型やテクニックを先に覚えようとするより、まず「分からない論点に仮の見解を持つ」土台づくりを意識した方が、結果的に早く軌道に乗れるのではないかと振り返って思います。
これからコンサルを目指す方には、入社前の今のうちに、答えのない問いに対して「とりあえずの仮説」を言葉にする練習をしておくことをおすすめします。難しいテーマでなくても構いません。日々のニュースや仕事の課題に対して、自分なりの一言の見解を持つ癖をつけておくだけでも、入社後の戸惑いを減らせるはずです。
一人で抱え込まずに済んだのも、この順番で学べた理由の一つ
もう一つ、この順番で学べた背景として、入社直後の環境も大きかったと感じています。メンター制度があり、定期的に面談で進捗や期待値をすり合わせる機会がありました。
メンターかどうかに関わらず、周囲が自然にサポートしてくれる文化があったことも助けになりました。分からないことを言葉にして持ち帰る最初のステップは、一人で完結させる必要はなく、安心して聞ける相手がいるかどうかで難易度が大きく変わります。
これからコンサルを目指す方には、こうした受け入れ側の体制(メンター制度や定着率の実態)も、ファーム選びの判断材料の一つとして意識しておくことをおすすめします。
なお、1年目と数年目で何が変わったかをより詳しく振り返った内容はこちらの記事でも扱っています。選考前にどんな順番で勉強したかについてはこちらの記事にまとめているので、あわせて参考にしてください。
この記事で触れたような「学び方の転換」は、スキル・資格にとどまらずキャリアの選び方全体にも関わってきます。skillsクラスターの記事を総括したITコンサルで求められるスキル・資格のまとめ記事もあわせてご覧ください。
書籍やまとめ記事の目次は、どのスキルが最終的に必要になるかを知る地図としては有用です。ただ、その地図通りの順番で自分の中に積み上がっていくわけではないと、あらかじめ知っておくだけでも、入社後に「自分はまだ型を覚えられていない」と焦る気持ちを減らせるはずです。
まだ転職活動を始めていない段階でも、こうした一次体験を知っておくことは準備の一つになります。自分だけで判断がつかない部分は、一度エージェントに率直に相談してみると、思わぬ視点が見つかることもあります。


