SIerからの転職先はどこがある?同業・社内SE・コンサルを比べて、コンサルを選んだ理由

SIerからの転職先の選択肢を比較して悩むビジネスパーソン キャリアパス

「SIer 転職先」と検索すると、社内SE・同業の別のSIer・ITコンサルという3つの選択肢を比較した記事が数多く見つかります。発注側か受注側か、上流中心か実装中心か、評価される力が技術力から課題解決力に変わるか、といった整理はどれも分かりやすく、転職エージェント各社の記事はこの切り分け自体をかなり丁寧にまとめてくれています。

ただ、実際に転職先を比較検討していた当時の私には、この3択の整理だけでは見えていなかった選択肢がもう一つありました。SIer(システムエンジニア)としてSE〜PMの実務を数年以上経験したのち、ITコンサルタントへ転職した私が、実際にどう比較し、何を基準に選んだかをこの記事では書きます。

この記事でわかること

  • 社内SE・同業SIer・ITコンサルという定番の比較軸と、実際に転職先を選ぶ際の判断材料のズレ
  • 一般的な比較記事にはあまり出てこない「SIer社内のコンサル部門」という紛らわしい選択肢
  • 転職先を比較する際に、私が実際に確認した3つの視点

検索すると出てくる「社内SE・同業SIer・コンサル」という定番の比較

転職エージェント系の記事を読むと、SIerからの転職先はおおむね次の3パターンに整理されています。ひとつは発注側の立場で自社システムに向き合う社内SE、ひとつは別の会社のSIer(大手・中堅・外資系など)、もうひとつが上流の課題分析や戦略立案が中心になるITコンサルです。

この整理は構造としては正確で、実際に比較検討する際の最初の地図として役に立ちました。ただ、地図はあくまで全体像で、自分がどの道を選ぶかを決める最後の一押しにはなりませんでした。似たような立場の選択肢同士(たとえば同業SIerと、SIerの中に新設されたコンサル部門)が、同じ地図の中では区別されずに見えてしまうからです。

私が実際に転職先として検討した4つの候補

当時の私が候補として比較していたのは、社内SE、同業の別のSIer、外部のITコンサル、そしてもう一つ、当時の会社の中に新設されていたコンサルティング部門でした。4つ目は見た目こそ「コンサル」という肩書きが付くため、最初は外部のITコンサルと並列に扱ってしまいがちな、紛らわしい選択肢でした。

候補が増えるほど、何を基準に比較すればいいのか分からなくなっていきます。私の場合、最終的には次の3つの視点に絞って一つずつ確認していくことで、比較の軸がはっきりしてきました。

転職先を比較する際に実際に確認した3つの視点

  1. その立場が「誰の利益を最優先に意思決定する立場か」(自社・発注元・顧客のどれに最も近いか)
  2. 提案や検討の際に「特定の製品・技術・取引関係に縛られるかどうか」
  3. 肩書きが変わっても、組織としての立ち位置(独立性)が実際にどこまで変わるか

この3つの視点で見ていくと、肩書きが似ていても実態が大きく違う選択肢があることに気づきました。次からは、それぞれの候補をこの視点で見たときにどう判断したかを書いていきます。

社内SEという選択肢を外した理由

社内SEは発注側の立場になるため、SIer時代に感じていた「受託ビジネスゆえに自社の利益と顧客の本当の利益が一致しないのではないか」という葛藤からは離れられます。候補として検討した時期もありました。

一方で、社内SEは基本的に一つの会社のシステム・業務に向き合う立場です。私が転職活動を通じて改めて気づいたのは、自分が本当に求めていたのは「特定の製品・技術・取引関係に縛られずに、顧客本位でフラットに検討できる自由度」だったという点でした。一つの会社に属する立場である以上、その会社の事情や制約から完全に自由になるわけではないと考え、社内SEは早い段階で候補から外しました。

同業(他社のSIer)への転職も考えたが、選ばなかった理由

同業界内での転職、つまり別のSIerへ移るという選択肢も現実的に検討しました。年収アップだけを目的にするなら、むしろ同業界内での転職の方が選考の難易度は低いという見方もあります。この迷いについては、SIer業界内で転職するか、コンサルへ越境するか悩んだ話でも詳しく書いています。

ただ、会社を変えても受託開発というビジネスモデル自体は変わりません。自社の利益を優先せざるを得ない構造的な葛藤は、どのSIerに移っても形を変えて残り続けるだろうと予想がついたため、同業への転職は最終的な決め手にはなりませんでした。

見落としがちな「SIer社内のコンサル部門」という紛らわしい選択肢

ここが、一般的な3択の比較記事にはあまり出てこない部分だと思います。近年、SIer各社が自社内に「コンサルティング部門」「DXコンサル部門」等を新設するケースが増えている実感があります。退職の意向を伝えた際、実際に「うちの会社にもコンサル部門があるから、そちらへの異動はどうか」という引き止め的な提案を受けた経験もありました(このときの詳しい経緯は退職面談で社内コンサル部門を提案された話にまとめています)。

肩書きだけ見ると「コンサル」であり、外部のITコンサルへ転職するのと似た選択肢に見えます。しかし、先ほどの3つの視点に当てはめて考えると、SIer社内のコンサル部門はあくまでSIerという組織の一部です。結局は自社の得意な製品・技術を推すスタンスから完全に脱却できないのではないか、という点で、独立性という軸では同業SIerに近い選択肢だと判断しました。肩書きの近さと、実態としての立ち位置の近さは、必ずしも一致しないということです。

最終的にコンサルを選んだ理由

4つの候補を3つの視点で比較した結果、最終的に選んだのは外部のITコンサルでした。特定の製品・技術・取引関係に縛られず、顧客本位でフラットに検討できる自由度が、4つの中で最も大きかったのがこの選択肢だったためです。

もっとも、この自由度は良い面だけではなく、「拠り所がなくなる」という戸惑いとして感じる場面もありました。転職後に実際に感じたギャップについては、入社後ギャップをまとめたSIerからITコンサルへ転職した経験の全体像でも触れていますので、あわせて参考にしてください。

これから転職先を比較する方へ

まだ転職活動を始めていない段階でも、転職先の選択肢を比較する際は、肩書きの近さだけで判断せず、「誰の利益を最優先に意思決定する立場か」「特定の製品・技術・取引関係に縛られるかどうか」という軸で一つずつ確認してみることをおすすめします。SIer社内のコンサル部門のように、名前は似ていても実態が異なる選択肢に惑わされにくくなるはずです。

一人で抱え込まず、まずは転職エージェントに登録して話を聞いてみるのも、判断材料を増やす一つの方法だと思います。社内の異動話や同業への転職も含めて、外部の視点から選択肢を整理してもらえることもあります。

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タクマ

SIer(システムインテグレーター)でSE・プロジェクトマネージャーを経験したのち、IT/業務系コンサルティングファームへ転職。業界横断のプロジェクトに携わりながら、転職の実体験や入社後のギャップを発信しています。プライバシー保護のため、所属企業名・案件名など特定につながる情報は伏せています。

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