SIerでPMとして評価されたスキルは、ITコンサル転職でどこまで通用したか

プロジェクトマネジメントの経験を活かして働くビジネスパーソン スキル・資格

SIerでSE(システムエンジニア)からPM(プロジェクトマネージャー)へとキャリアを積み、複数のプロジェクトの進行管理を任される立場を数年経験してから、ITコンサルタントへ転職しました。転職活動の面接では、PMとしての経験を評価してもらえている手応えがありましたが、実際に入社してみると「そのまま通用したスキル」と「まったく通用しなかったスキル」がはっきり分かれることに気づきました。

この記事では、その線引きを一次体験ベースで具体的に書いていきます。

「PM経験はITコンサル転職で評価される」という情報は転職エージェント系のメディアでもよく見かけます。ただ、そこで語られているのはたいてい「要件定義の経験」「コミュニケーション力」といった一般論止まりで、実際に転職した後、そのスキルの何が通用して何が通用しなかったのかという具体的な中身までは踏み込まれていません。

PMという肩書きだけを見れば同じでも、担当していた案件の規模やフェーズによって実感には差があると思いますが、今回はできるだけ具体的に、自分の体験に沿って書いてみます。

この記事でわかること

  • ITコンサル転職で、PM経験の「評価される部分」と「通用しない部分」の線引き
  • 選考・入社後に実際にあったギャップの具体例
  • PM経験を転職活動でどう伝えるべきか

PM時代に評価されていたスキルとは

SIerでPMとして日々求められていたのは、スケジュール管理、リスクの洗い出しと対応、要員のアサインとマネジメント、そして顧客との折衝でした。すでに決まった方向性(要件・仕様)を前提に、それをどう予定通り・予算内で形にするかという「実行のプロフェッショナル」としての役割です。

「決まった方向性をいかに崩さず着地させるか」が、PMとして評価される軸の中心でした。この実行力・調整力は、当時の自分にとって数少ない自信の持てる武器であり、転職活動でも真っ先にアピールしようと決めていたポイントでした。

選考で実際に評価されたと感じたポイント

面接では、スケジュール調整や複数のステークホルダーとの折衝経験について深掘りされ、評価されている手応えがありました。ただし、正直に振り返ると、評価されたのは経験の”規模”ではなく、トラブルや意見対立が起きたときに自分がどう考え、どう動いたかというプロセスの部分でした。

「何名規模のプロジェクトを率いたか」を聞かれることはほとんどなく、「なぜその判断をしたのか」「他にどんな選択肢があったのか」を執拗に聞かれた記憶があります。この点は、SIerでの経験がITコンサルでどう評価されるかをまとめた記事でも触れていますが、規模の大きさよりも思考のプロセスを見られているという実感は、PM経験に限らずSIer出身者全体に共通する感覚だと思います。

選考で評価されたと感じたポイント

  • スケジュール調整や、複数のステークホルダーとの折衝経験
  • プロジェクトの規模よりも「なぜその判断をしたのか」「他にどんな選択肢があったのか」を深掘りされた

入社後に痛感した「PM経験だけでは通用しなかった」ギャップ

入社後しばらくして、PM時代の進行管理スキルだけでは太刀打ちできない場面に何度も直面しました。SIer時代のPM業務は、基本的に「方向性はすでに決まっている前提で、それをどう実現するかを詰める」仕事が中心でした。

ところがコンサルの現場では、そもそも「方向性そのものをゼロから決める」上位レイヤーの議論に加わることになります。進行管理が得意でも、白紙の状態から仮説を立てて提案する力はまったくの別物で、最初の数ヶ月は会議で意見を求められても言葉に詰まることが何度もありました。この視座の違いについてはSIerとコンサルの本質的な視座の違いをまとめた記事で詳しく書いていますが、PM経験があるからといって自動的に埋まるギャップではない、というのが率直な実感です。

具体的にどんな場面でギャップを感じたか

もう少し具体的に書くと、たとえば複数の選択肢の中からクライアントへの推奨案を決める作業で、そのギャップを一番強く感じました。SIer時代のPM業務でも「複数の対応案からどれを選ぶか」を検討する場面はありましたが、そこでの判断軸はあくまで自社(SIer側)が実現しやすい方向、すでにある技術・体制で対応しやすい方向に寄りがちでした。

ところがコンサルでは、そうした社内都合を排して、フラットにクライアントにとって最適な選択肢を評価することが求められます。「自社の都合に寄せない評価軸」への切り替え自体が、思っていた以上に難しかったというのが正直なところです。

進行管理そのものは問題なくできても、この評価軸の転換には数ヶ月単位の時間がかかりました。

逆に、PM経験が想像以上に活きた場面

一方で、PM時代に培った「複数の利害関係者の意見を整理し、着地点を探る」折衝力そのものは、コンサルの現場でも確実に武器になりました。クライアント内の部門間で意見が割れている場面や、スケジュールがタイトな中で優先順位を調整する場面では、SIer時代の経験がそのまま活きていると感じることが何度もあります。

「決めるための情報を整理し、合意形成まで持っていく」という進め方自体は、コンサルでも共通して求められるスキルでした。技術的なバックグラウンドがあることも周囲から相談される機会につながり、思っていた以上にプラスに働いています。PM経験そのものを否定する必要はなく、活かせる部分と鍛え直す部分を切り分けて考えることが大切だと感じています。

PM経験の「そのまま活きた部分」と「鍛え直しが必要だった部分」

  • 活きた: 複数の利害関係者の意見を整理し、合意形成まで持っていく折衝力
  • 鍛え直し: 「方向性そのものをゼロから決める」上位レイヤーの議論
  • 鍛え直し: 「自社の都合に寄せない」フラットな評価軸(習得に数ヶ月かかった)

当時は不満だった「何でもやらされる」働き方が、実は伏線だった

PM時代を振り返ると、正直やらされていたことが多すぎました。プロジェクトの進行管理そのものに加えて、新規案件を獲得するための提案活動、社内の各種会議への参加、経営層への説明対応まで、役割の境界が曖昧なまま何でも担当させられている感覚がありました。

当時は「これは本来のPM業務ではないはずだ」という不満・徒労感の方が強く、この経験に意味があるとはまったく思っていませんでした。ところがコンサルに転職してから振り返ると、この「周辺業務まで一通り経験させられたこと」が、結果的にそのまま武器になっていたと気づきました。

「何でもやらされた」経験が、コンサルでどう活きたか

  • 提案活動の経験 → クライアントへの提案・プレゼンテーションの土台になった
  • 経営層への説明対応の経験 → コンサルで日常的に求められる「上位者への簡潔な報告」に直結した
  • 複数の役割を同時にこなす経験 → 1人で複数案件・複数役割を掛け持ちする働き方への耐性になった

渦中にいるときは、役割の境界が曖昧な忙しさに疲弊するだけで、それが後で何かの伏線になっているとは気づけないものです。もし今、PMとして「本来の業務ではないはず」の仕事まで押し付けられている感覚に疲弊しているなら、その経験は決して無駄になっていない可能性があります。

PM経験を転職活動でどう伝えるべきか

振り返ると、PM経験を評価してもらうために大切なのは、担当したプロジェクトの規模や実績を並べることではなく、意思決定の場面でどう考え、どう動いたかを具体的に言語化することだったと感じています。規模の大きさをアピールしたくなる気持ちは分かりますが、コンサルの選考で見られているのは、あくまで本人の思考プロセスです。この感覚を自分の言葉で整理できるかどうかで、選考での伝わり方はかなり変わると思います。

まとめ

PM経験は、ITコンサル転職において確かに評価されるポイントですが、「そのまま通用する部分」と「入社後にあらためて鍛え直す必要がある部分」がはっきり分かれます。両方を正直に理解した上で準備することが、転職後のギャップに苦しむ期間を短くする近道だと感じています。自分のPM経験がコンサルでどこまで通用するのか一人で判断がつかない場合は、コンサル特化型の転職エージェントに経歴を見てもらい、客観的な評価を聞いてみるのも一つの方法です。

タクマ

SIer(システムインテグレーター)でSE・プロジェクトマネージャーを経験したのち、IT/業務系コンサルティングファームへ転職。業界横断のプロジェクトに携わりながら、転職の実体験や入社後のギャップを発信しています。プライバシー保護のため、所属企業名・案件名など特定につながる情報は伏せています。

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