「コンサルを辞めて、事業会社に転職するらしい」。その話を人づてに聞いたとき、正直かなり驚きました。彼はコンサルの仕事にちゃんと向き合っていて、成果も出しているように見えていたからです。
この記事では、SIerからコンサルへ転職した私自身の視点から、なぜ「うまくいっていたはずの同僚」がコンサルを辞めて事業会社を選んだのか、そこから見えてきたキャリアの捉え方について書きます。転職エージェント系の記事では事業会社への転職メリットが網羅的に整理されていますが、実際に近くでその決断を見た人間の視点は、意外と語られていません。
この記事でわかること
- コンサルを辞めて事業会社へ転職する人が実際に何を求めているのか
- コンサル経験が事業会社側から歓迎される具体的な理由
- 「コンサルが合わなかったらどうしよう」という不安との向き合い方
「向いていなかった」わけではなかった
同僚が会社を辞めると聞いたとき、まず頭に浮かんだのは「コンサルの仕事が合わなかったのかな」という想像でした。ハードワークや答えのない論点に苦しんで離れる人がいることは、自分自身も見聞きしていたからです。
しかし話を聞いてみると、そういうネガティブな理由ではありませんでした。彼が語った動機は、クライアントワークを一定期間経験した先に、事業側・発注側の意思決定を内側から経験してみたくなった、というものでした。むしろコンサルとしての経験に手応えを感じていたからこそ、次のフェーズに関心が向いた、という言い方の方が近かったように思います。
クライアントワークだからこそ見えてくる「その先」
コンサルの仕事は、基本的にクライアントの課題に対して外部から提案・支援を行う立場です。提案した内容がどう実行され、実際にどんな結果につながったのかまでを、ずっと同じ立場で見届けられるとは限りません。
契約やプロジェクトの区切りが来れば、そこで自分の関与は一区切りになってしまう構造そのものに、もどかしさを感じ始める人が一定数いるというのが、同僚の話を聞いて実感したことです。これはコンサルの仕事が悪いという話ではなく、外部から支援する立場に必然的に伴う特性なのだと思います。
事業会社側であれば、自分が下した意思決定が、その後どう回っていくかを継続的に見届けることができます。うまくいかなかった場合にも、その場から逃げずに修正していく当事者になれる。この「実行し続ける立場になりたい」という感覚は、コンサルの仕事を一定期間本気でやった人ほど出てくる感覚なのかもしれません。
SIerからコンサルへの「一方通行」ではなかった
私自身はSIer(システムエンジニア)からコンサルへ転職した身なので、正直に言えば「コンサルこそがゴール」という感覚が、どこかにありました。このサイトでも、SIerからコンサルへの転職を前向きに扱う記事を多く書いています。
ただ、同僚の転職を間近で見たことで、コンサルという経験自体も、キャリアの中の一つの通過点でしかないのかもしれない、という感覚が生まれました。コンサルを経験した先に事業会社という選択肢が自然に出てくるのであれば、SIerからコンサルへ進む今の選択も、そこで終わりではないのだと思えるようになったのです。
これは、これからコンサルへの転職を考えている読者にとっても、少し心が軽くなる話ではないかと思っています。「コンサルに転職して、もし合わなかったらどうしよう」という不安は、選考を受ける前から誰もが抱くものです。でも実際には、コンサルを経験した先にも複数の道が開けている、という事実そのものが、最初の一歩を踏み出すハードルを少し下げてくれるはずです。
事業会社への転職で、コンサル経験が歓迎される理由
同僚の転職活動の話を聞いていて印象的だったのは、コンサル出身であること自体が、事業会社側からかなり歓迎されていたという点です。
事業会社側から評価されていた3つの素養
- 課題を構造的に整理する力
- 資料・プレゼンテーションの完成度
- 関係者を巻き込みながら物事を前に進める調整力
コンサルでの経験は「もう一段上のレイヤーで課題に向き合ってきた実績」として、事業会社側から見ても価値のあるキャリアとして扱われていることを、同僚のケースを通じて実感しました。コンサルを一区切りとして辞めることが、キャリアの後退にはならないという事実は、これからコンサルを目指す人にも知っておいて損はない情報だと思います。
同僚が転職先で担うことになったのは、新規事業の立ち上げに近いポジションだったと聞いています。コンサル時代に磨いた「課題を構造化して整理する力」を、今度は自分ごととして事業側で使う立場になった、という言い方が近いのかもしれません。
この話から、私自身が考えたこと
同僚の決断を聞いてから、私自身も自分のキャリアを改めて見直すようになりました。今の仕事にやりがいを感じているのは事実ですが、それは「ゴールに到達した」という意味ではなく、「今はこのフェーズにいる」というだけの話なのかもしれない、と考えるようになったのです。
SIerからコンサルへの転職を決めた時の気持ちは、コンサル転職1年後に振り返って、あの決断は正しかったかでも書きましたが、あの時の決断が今も正しかったと思えるのは、この先にも道が続いていると感じられるからでもあります。キャリアを一つの正解に固定しなくていいという感覚は、同僚の転職がなければ持てなかったものです。
事業会社という選択肢を、今の自分に重ねてみる
もしあなたが今、SIerからコンサルへの転職を検討していて、「合わなかったら後がない」という不安を抱えているなら、その不安は少し過剰かもしれません。コンサルという経験は、その先の事業会社というキャリアにもつながる、通過点としての価値を持っています。
SIerからコンサルへの転職全体像を知りたい方は、SIer(システムエンジニア)からITコンサルへ転職した私が、経験の活かし方・選考対策・年収相場をすべて書くもあわせて読んでみてください。
自分のキャリアの次の一歩を、コンサルという選択肢を含めて客観的に整理したいなら、幅広い業界・職種の求人を持つ転職エージェントに相談して、事業会社を含めた選択肢を一度整理してみるのも一つの方法だと思います。一人で考え込むより、外の視点を入れた方が見えてくるものは多いはずです。


