面接で「なぜコンサルなのですか」と聞かれたとき、自分の中にある本音をそのまま話していいのか、迷ったことはありませんか。筆者も選考前は、耳触りの良い言葉で志望動機を組み立てた方が評価されるはずだと思い込んでいました。
「コンサル 志望動機 SIer」で検索すると、専門性を幅広い業界で応用したい、多岐にわたる課題解決を通じて社会貢献したい、といった志望理由の型や、「コンサル業界全体への志望理由」と「個社ならではの志望理由」を分けて整理する、いわゆる二階建ての書き方を紹介する記事が並びます。型としては参考になりましたが、前職であるSIer(システムエンジニア)に対して感じていた迷い・葛藤そのものを、選考の場でどこまで正直に話していいのかという、もう一段踏み込んだ悩みに答えてくれる記事は見当たりませんでした。
この記事では、筆者が実際に志望動機として話した内容と、前職への率直な葛藤をどう伝えたか、そしてそれがなぜ評価につながったと感じているかを、実体験ベースで書いていきます。
この記事でわかること
- 志望動機の「型」をなぞるだけでは言葉が薄くなってしまった理由
- SIer時代の構造的な葛藤を、どう正直に志望動機へ落とし込んだか
- 志望動機を言葉にする前に、実際にやっておいた3つの整理
志望動機の「型」を探したが、しっくりこなかった理由
選考が始まった当初、筆者もまずは志望動機の「型」を調べることから始めました。業界共通の理由と個社ならではの理由を分けて整理する考え方は、確かに筋が通っていて分かりやすいものでした。
ただ、実際に自分の言葉で話そうとすると、どうも薄っぺらく聞こえてしまう感覚がありました。型に沿って整えた言葉は、面接官に「なぜ」を一段深く聞き返されると、すぐに答えが尽きてしまうのです。借り物の理由では、二の矢三の矢に耐えられないことに、練習の段階で気づかされました。
そこで方向を変え、型をなぞることをやめ、自分が転職を考えるに至った本当の経緯をそのまま言葉にしてみることにしました。
実際に話したのは、SIer時代に感じていた構造的な葛藤そのものでした
筆者がSIerでSE・PMとして実務にあたっていた頃、常に感じていたのは「自社の利益を優先する立場」と「顧客の本当の要望に寄り添う立場」が、必ずしも一致しないという構造的な葛藤でした。受託開発というビジネスモデル自体が抱える構造であり、個人の頑張りだけでは解消しきれない部分だと感じていました。
面接で志望動機を聞かれたとき、筆者はこの葛藤を取り繕わずに話すことにしました。「自社の売りたいものに寄せた提案ではなく、利害関係を排してフラットに顧客の課題と向き合いたい」という思いが、コンサルを志望する根本の理由だと伝えたのです。一般的な模範解答とは少し違う、生々しい内容でしたが、嘘のない言葉だったという実感があります。
この葛藤自体は、転職を決意するまでの心境の変化とも地続きのテーマです。情報収集レベルだった興味が、徐々に本気の転職活動に変わっていった過程についても、振り返るとこの構造的な葛藤がずっと背景にあったように思います。
志望動機を言葉にする前にやった3つの整理
葛藤をそのまま話すといっても、感情のまま喋ってしまえば、ただの不満の吐露に聞こえてしまいます。言葉にする前に、いくつか自分の中で整理しておいたことがあります。
志望動機を固める前に実際にやった3つのこと
- SIer時代の実績を、「プロジェクトの規模」ではなく「自分がどう考え、どう動いたか」という視点で棚卸しし直す
- 「コンサル業界全体への志望理由」と「その会社ならではの志望理由」を、意識的に分けて整理する
- 一人で完結させず、担当エージェントに壁打ち相手になってもらい、実際に深掘りの質問を投げてもらって練習する
特に1点目は、以前自己流の職務経歴書で書類選考に落ちた経験から学んだことでした。規模の大きさを語るのではなく、自分自身の思考と行動のプロセスを語る視点に切り替えてから、話す内容の説得力が変わった実感があります。3点目のエージェントとの壁打ちも、自分では気づけない説明の粗さを事前に洗い出してもらえた点で、大きな助けになりました。
なぜ「正直な葛藤」が評価につながったと感じているか
選考を振り返ってみて、評価されたと感じたポイントはいくつかあります。一つは、課題に対して「正解」を探すのではなく、自分なりの仮説や意見を持てていたことです。
もう一つは、まさにこのSIer時代の葛藤を素直に語れたことそのものでした。綺麗にまとめた志望理由より、迷いながらも考え続けてきた過程の方が、面接官には「本当に考えている人だ」という印象として伝わったのではないかと感じています。加えて、SIer時代の顧客折衝・調整の経験そのものや、チームで仕事ができる人間性を雑談的な時間で見られていたことも、後から振り返ると評価の一部だったと思います。
「本音を話すこと」と「前職批判」の線引き
一方で、葛藤をそのまま話すことには注意も必要だと感じています。筆者が意識していたのは、前職(SIer)という会社や業界そのものを批判する言い方には絶対にしない、という線引きでした。
伝えていたのは「受託開発というビジネスモデルの構造上、避けられない葛藤があった」という事実であり、「前職が悪かった」という評価ではありません。構造の話として語るか、不満として語るかで、面接官が受け取る印象はまったく違うものになると感じています。この線引きさえ守れば、正直な葛藤はむしろ説得力のある材料になるはずです。
これからコンサルを目指す方へ
今まさに転職活動の前、あるいは情報収集の段階にいる方には、志望動機を「模範解答を探して整える作業」だと捉えず、自分が転職を考えるに至った具体的な経緯を一度棚卸ししてみることをおすすめします。借り物の言葉より、多少不格好でも自分の経緯から出てきた言葉の方が、深掘りされても崩れにくいはずです。
実際に選考で聞かれた質問の具体例はITコンサル選考で実際に聞かれた質問と、その場でどう答えたかに、選考で見送りになった側の視点はコンサル面接で問われる「コミュニケーション力」の正体にまとめています。選考全体の振り返りはITコンサルの選考で実際に何が起きたか、私が経験したことを全部書くでも書いていますので、あわせて読んでみてください。
自分の経緯を棚卸ししてみても、どう言葉にすればいいか一人では整理しきれないという場合は、選考対策の壁打ち相手として、面談や選考支援まで対応してくれるハイクラス向けの転職エージェントに、一度話を聞いてもらうのも一つの手だと思います。コンサル特化型のハイクラス転職エージェントに相談してみる
ことで、自分では気づけなかった説明の粗さが見えてくることもあります。


